2018年07月17日

暑中お見舞い

今夏の暑中見舞いは、今までに比べ「分りやすい」と感じられているようです。大先輩から、「本日は色々ご教示賜りありがとうございました。」などと過分なお褒めをいただくと、此方こそ恐縮してしまいます。しかし、一部同業者は、僕の喜怒哀楽とか年末年始のご挨拶が面白くないようです。「いろいろ書いているようだけど、・・・。」などと「文句のありそうなゴニョゴニョをいうなら、上等だ文書で来い。」とつい、売られていない喧嘩をムリ無理買ってしまいそうです。

新年のご挨拶でも「俺の事務所は、これだけの数弁護士がいるのだ。」と来られると、悔し紛れを含め「弁護士は数で勝負するものではない。」と憤り、新人弁護士の紹介状で「かれは人権感覚に優れ、基本的人権を擁護できる優秀な弁護士です。」などとご挨拶を頂きますと、「人権感覚があるか否か、優秀か否かどうしてわかるのか。」新人弁護士を、いきなり「優秀だ」などと身内を褒めるご挨拶など、ご遠慮申し上げたいところです。

今年の暑中見舞いは、事務所で部分社会の議論をして感じたことを題材としました。差詰め、僕など弁護士会というムラ社会の群れ離れですかね。

【暑中お見舞い申し上げます。
インターネット社会では、本音で話しあえる友人・知人が少なくなっています。誰でも家庭、職場、学校、趣味、組合、町会など様々な、人とのつながりがあり「部分社会」を作っています。職場でもめても趣味の会合で愚痴を言いあい、ストレスを解消します。
しかし、スマホだけで「生きている」人もいます。交番襲撃とか新幹線の殺人事件など訳のわからない事件を引き起こす人間は、どの社会の部分にも属していない、その意味で社会からも見えない「怖い」存在です。
憲法の勉強中は「部分社会の法理」など、あまり大切とは思いませんでしたが、この不可欠な概念(言葉)で人間・社会を分析すべきは、「今でしょ」。
親指で つながる友の 軽薄さ はや取りかえす こころと心
平成三〇年 盛夏
   千葉市中央区中央四―一〇―八 コーケンボイス九〇四
             やすかね法律事務所 電話〇四三(二二二)四六八〇  
                            弁護士 伊 藤  安 兼】

次回は、『学はあってもバカはバカ』(川村二郎著 ワック梶jは、激辛の文が並びますが、我が意を得たりと感心していますので、これをご紹介しながら、「極論」を書いてみます。また債権法改正は、今難儀しています。


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2018年06月13日

民法改正

民法改正がありましたね。実は、カタカナから、仮名書になったときは、暫らく気が付きませんでしたが、今回は内容が改正になったので、勉強がてら、メモ書き風にまとめておきます。何回続きますかね?
心裡留保(93条1項ただし書き 2項新設)
1、 意思表示は、日本語でしますが、口から出た内容(法律上意味のある発言)に従って、法律効果が発生するのが、原則です。例えば、「この車を君にあげるよ。」と言い、相手が「頂きます。」と言えば贈与契約が成立し、車の所有権は、相手方に移転し、相手は車の引き渡しを受ける権利を取得します。このように、民法は、表意者の内心にそって、意思表示の内容通りの法的効果を与えるのですが、表意者の真意が意思表示と異なっていた場合に、法的効果を認めていいものか、口に出した以上それを「絶対」とするか、表意者と相手方の利害を調整すべきか、予め民法で当事者間のルールを整えておく必要があります。
2、 改正前は、口に出した以上、自分で真意でないことを知っていたとしても、意思表示通りの効果がある。(1項本文)しかし、相手方が表意者の真意を知り、または、知ることができたときは、その意思表示を有効とする必要はないから、但し書きで「無効とする。」としていました。ところで、民法が、あくまで表意者の内心であるる「真意」に拘り、これを基準にして法的効果を決定する(意思主義)ことは、意思表示を受け取る相手方は、表意者の「真意」を知ること求められますが、これはある意味、真意探求という不可能を強いることとなるので、ルールとして不適当と考えられることとなりました。
3、 そこで、改正法1項ただし書きでは、相手方が意思表示する者の真意を知っている場合は勿論、周囲の事情からして「知ることができたときたときは、その意思表示は無効とする。」と定め、意思主義の哲学的命題を回避したものです。
4、また、新設の2項は、但し書きの無効は善意の第三者に対抗できないとして「民法94条2項類推適用により保護する判例・通説を明文化しました。」(『民法改正で企業実務はこう変わる』第一法規6頁)(6月20日訂正)
次回は、多数当事者の債権債務に関する改正内容を勉強します。
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2018年06月08日

6月は株主総会の時期です

6月は、上場企業の株主総会が一斉に開催されます。私のところにも、何十社も株主総会のご案内が来ます。弁護士たるもの、株主総会に顧問弁護士の立場で議場に登壇できれば花形弁護士ですからね。
尤も私の場合は、100株程、議決権1の株式を買って、わずかの配当と株主優待品目当てですから、羨ましがられるものでもないです。
先日TVでスマホでも株式が購入できるなどと報道していました。千円単位で株の購入ができ、権利確定日となれば4〜50円程度の配当もあるということです。この報道を見て、千円単位で株を購入できることで「自分も株式投資をしている。」と若者が考えることは、資本主義社会の本質を見誤ることでしょう。議決権もない端株を買って、資本家ないしは、投資ファンドとの質的相違が理解できないなら、その先の権力者と資本家の結託も全く理解できないでしょう。

即ち、ゼロ金利時代にアメリカの投資ファンドなどは、例えば日本で100億円の融資を受け、これで株式投資を行い、3%の配当を受けたとしても、濡れ手で粟の3億円が手に入るのです。
しかも、外人投資家は、私たちの些細な株主優待など「株主平等の原則に反する。」などと言いながら、わが国の経営者に自分たちの息のかかった取締役を潜り込ませようとしているのです。投資ファンドの連中は、資本主義社会のルールの中で我々日本人から巨額の富を巻き上げているのです。

話は飛びますが、米朝の会談で、仮に朝鮮戦争が終結し「平和条約」などが締結されたならば、わが国は、アメリカの後押しを受けた北朝鮮に莫大な戦後賠償を要求されると思います。

結局、戦後70年以上経過しても、敗戦国で奴隷状態となった日本人は、未だにアメリカの支配から脱することができないでいます。信じられないでしょうが、アメリカ太平洋軍の軍人とわが国の官僚のトップで構成されている日米合同委員会の存在は、それを証明しています。
どこの世界に政府のトップが外国の軍隊の言うことを唯々諾々と聞かなければならないのでしょうか。首都に外国軍隊を置き、大統領専用機は、羽田でなく横田基地に着陸して安倍首相と会談しているのです。アメリカ軍人とその家族も入管は一切通過しません。結局「独立国」であるわが国は、現在アメリ人(軍人とその家族)が何人滞在してるか把握のしようもないのです。
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2018年05月22日

公務員は、原理原則を大切に


シーサーの都合で喜怒哀楽が投稿できませんでした。本日から再開です。

5月22日午前中、千葉地方裁判所一宮支部での出来事です。
民事裁判がありましたので、スーツを着用して裁判所2階に行きますと、なにやら5〜6人のだかり、その中でTシャツを着た若者が突然私に向かい「どちらに行きますか。」と質問してきました。
制服着用の警察官でも、民間人に質問をするためには、警察官職務執行法という法律の規制があります。また裁判は、憲法上公開されていますので、裁判所の建物の中にある法廷に行く廊下も当然、、誰でも自由に歩くことが出来ます。  
しかし、この若者は、腕に裁判所の腕章をつけるまでもなく、また、後で書記官から情報ですが、裁判所は軽装で執務しており、一般人と区別もつきませんから、より丁寧な対応が必要だったはずです。
我が国でドレスコードでは、一番堅苦しいと思われている裁判所で、Tシャツのお兄ちゃんが、バッジはつけていませんでしたが、スーツをきた弁護士に突然用向きの質問をしてきたのです。
この裁判所の事務員、国民の自由にとって重要な権利侵害の恐れのある質問であることの意味が理解されていません。
腹を立てた私は、再度二階に行って、「Tシャツにスニーカーで質問するなら、腕に裁判所の腕章でも着けておけ」などと文句を言っていますと、庶務課の課長さんが「一宮では腕章は、着けていません」と言ってきました。そこで「地裁(千葉)では、着けているぞ」などと言って、一応幕引きとしました。
そもそも、公権力を行使する公務員は、常に国民の自由とか権利を侵害する可能性がありますから、国民に対し、特にTシャツの若者が、説明もナシに「どちらにいきますか。」などと質問をする事自体の違法性が分かっていません。
前述の通り、制服警察官も法律上の要件が整っていない以上、「コンニチワ、熱いですね。」などという類のご挨拶を除き、めったな質問はしてはいけないのです。
仮に、裁判所のドレスコードを緩め、Tシャツにスニーカーでも良しとしても、国民に質問する事は、簡単にしてはいけないことです。
「コンニチワ」、「どちらにお出かけですか。」、「誰と行きますか。」、「デートですか。」「お金は持っていますか。」など色々の質問が考えられますが、用件もなしに許されるのは、ご挨拶程度でしょう。
裁判所の職員たるもの、国民に一定の事情を説明したとしても、常に基本的人権の侵害の可能性があることを認識した上で、丁寧な質問をすべきと考えます。
以上の話を、訴訟の相手方の若手弁護士に話しますと「先生、すぐカットするから」などと言っていましたが、この若手も事の重要性が分かっていませんね。原理原則は、直感的に肌で理解しておく必要があります。
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2018年04月27日

朝鮮半島で、蚊帳の外の日本

朝鮮半島での南北首脳会談が、今日始まりました。ところで、日本は、何をしているのでしょうか。全く影が薄いですね。
北朝鮮は、アメリカに向けての大陸間弾道弾の開発をやめることと引き換えに、アメリカと首脳会談をして、北朝鮮への経済制裁をやめさせるように、特に、日本の経済制裁がきついでしょうから、アメリカから日本への譲歩を迫るように要求するでしょう。これが結論です。

安倍首相はトランプと友好関係があると誤解したままアメリカに行きましたが、トランプは、日本の鉄鋼アルミなどに高い関税をかけ、鉄鋼などの輸入を減少させれば、アメリカの経済界自身が困るでしょうが、トランプはそのようなことは意にかまわず、貿易赤字解消だけを念頭に、日本と中国を同列において、輸入関税をかけてきたのです。
そこから、トランプは日本との関係など重視していません。思い出してください、関税をかけると宣言した時のトランプの言葉に「今までいい思いをしてきた」などと安倍軽視が表れていました。

トランプは、つい最近まで「ロケットマン」と揶揄していた金正恩を賢い男のように持ち上げて米朝首脳会談を行うことでしょう。その前に、今日の南北会談でアメリカは北との地ならしを韓国に行わせ、日本はすべての話し合いが終わったのち、拉致問題も日本への核の脅威も何ら変化がない状態で、日本は北への経済制裁を緩和させられることとなります。
アメリカファーストを超え高に叫ぶトランプは、アメリカ本土に核の脅威が及ばなければ、それでいいのですからね。

それにしても、野党が森友学園問題という実にばかげた問題で国会を空転させたことで、国民は北朝鮮問題を真剣に考えることもできませんでした。安倍政権は、森友学園問題とか、北朝鮮との外交関係だけでなく、アメリカとの関係でも何らの成果をあげられていないものの、安倍内閣の支持率は、一向に変化がありませんね。
それは、安倍がだめでも、民主党政権の失敗から、国民は野党を信頼できず、それに代わる首相候補がゼロの状態ですから、安倍内閣の支持率が極端に下落することもないでしょう。希望の党などの今朝の野党再編のニュースなどすぐチャンネルを切り替えました。

しかし、小泉進次郎ではいかんせん、未だ若すぎますから、当面財務省の文書偽造問題という本当につまらない問題で国会が空転し、その間に世界の注目する朝鮮半島の問題で蚊帳の外になっているわが国は、さしずめ世界に向かい、両手に札束をかざして「見てみて」と騒いでいるだけの状態です。21世紀の地球は、非常に危うい状態であるにも関わらず、日本は世界政治に影響力を与えることのできない「経済大国」なのでしょうか。だらしないね。
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2018年04月24日

仏の親は、鬼

今国会では、成人年齢を18歳とする法案の審議が継続しています。成人に達する前、子は両親の親権に服しますが、入学式だけでなく、大学を卒業後就職先まで親が付き添う時代に「逆行」しませんか。
動物でも人間でも、親から子への伝達、特に子が親を離れ、次世代を生き抜いていける力を身につけさせることです。
小学生のころ、祖母から「仏の親は鬼、鬼の親は仏」と言われ、今になってその意味が具体的に理解できます。
ですから、「ご幼少」から親の叱責もなく、仏の親に「放し飼い」された子は、社会に出て初めて家庭と異なる現実を知ることとなります。上司からチョット叱責されるとたちまち鬱になり、仕事を休みます。上司のやりすぎもあるでしょうが、場合によっては、パワハラだなどと親と一緒になって会社に裁判を起こし、仮に、裁判で勝っても、それで次世代を力強く生き抜ける能力はつかないでしょうね。
親からも教師からも叱られた事がない、若い(未成年)警察官が上司に罵倒され、上司を後ろからピストルで撃ち殺しました。どういう教育がこの若い警察官を生み出したのでしょうか。
posted by やすかね at 16:46| 千葉 ☁| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

大胆なリーダーシップとは何か


リーダーは、組織の運営に全責任を負担して、組織全体を混沌とした現状から引上げてゆかなければならない、大きな責任を負担しています。昔、スポーツクラブで大きな腹を愛でながら、現状維持を希望すると言っていましたが、努力なくして現状維持はありえず、後退あるのみです。周りが発展している以上、相対的に現状は後退だからね。
これを現在の我が国の企業経営者にも自覚していただかないことには、我が国の発展が覚束ない事は明らかです。

シャープ・東芝・神戸製鋼・三菱自動車などの巨大企業においてもその経営者が自己に責任追及がなされることに汲々として新たな発想が出来ず、結局尻りつぼみになって、外の企業に買収されるならまだしも、経営破たんなどすれば、我が国の社会経済への深刻な問題が発生する事ももちろんです。

然しながら、何につけても、新たなことをすれば必ず抵抗があり、この抵抗を知りながら新たな事業を展開し、その結果、
僅かでも失敗があれば、反対勢力から声高に責任追及がされる事は、明らかです。

子育てでは、よく「褒めて育てろ。」などと言われますが、これなど大きな間違いの元と考えます。先日発生した、ピストル使用の警察官による上司殺害事件などは、聞くところによると犯人は、今まで親にも先生にも怒られたこともないのに罵声を浴びたと一挙に取り返しのつかない殺人事件になりました。

これなどは、教育現場での問題が浮き彫りと思います。子供を叱る事はともかく怒ったりすれば、怪物のような親から激しい攻撃を受けますから、教師としても萎縮し、本来必要である子供を叱ることも控えてしまうでしょう。
子供の過ちを幼い時に指摘して、悪い芽を摘んでおかなくては、結局社会にでて取り返しのつかない事件を発生させてしまいます。千葉大医学部強姦事件も、子供の頃から出来の良い子で叱られることも、怒られることもなかった「優秀」な子どもの事件でした。

植木の剪定なども同じことと思います。エネルギーのある木は、余分な枝もたくさん出てきますが、良い枝と悪い枝を判断して剪定してこそ、立派な植木になります。発育不良、影の枝、絡まる枝などの剪定も出来なければ、元気が良い木ほど鬱蒼とした処理できない雑木になってしまいます。

今、我が国の企業では、日本人より外国人を多く採用するようになりました。日本人を社内で教育するのに神経を使わざるを得なくなっているからです。子供の入社式に親が出席し、新入社員に先輩が、ちょっと注意すればパワハラなどと言われるのが日本社会となっているからです。

次は、リーダーと大衆との関係です。私の入会したゴルフクラブも、コースなどの手入れが行き届かず、汚れた噴水を撤去してアプローチ練習場をつくろうとの話しが何度も出るのですが、その都度「株主平等の原則」から「失敗したらどうなるのだ」とのご意見を重視し、何事も前に進みません。クラブチャンピオンを連覇していた男が、ルールブックに記載されている競技中のマーカーの役割も理解せず、マーカーが本来ホール毎に確認すべき競技者のスコアについて前半が終わった直後「判んないから聞いてんだょ!」と喧嘩を仕掛けてきたことの問題点も全く解決できない人間が理事長になりました。

さらに、今の激しいゴルフ場経営の時代に非常勤でやれるわけのないゴル場の社長に弁護士が就任したので、8億の預金の金利など問題外だ、企業は融資を受けてでも投資しなければ、ゴルファーから置いていかれる、練習場とか、コース整備にお金を遣うべきだとご忠告しても、メンバーの売上が幾ら、会社が保有すべき資金(?)は、幾らだ、などどうでもいい細かい数字ばかり並べ、建設的なご意見は聞けませんでした。

トランプからは、アメリカの自動車業界の力では、ドイツなどに太刀打ちもできない(アメリカは、日本への輸出は、ほぼゼロ、ベンツ・BMなどは輸入増)にも関わらず、日本車の関税だけが問題とされ、安倍さんが何を言えるか、また北朝鮮は、とうとう「核開発の必要性がなくなった」などとICBMが完成しているかのようなホラを吹いてトランプと交渉をはじめるようです。イギリスの首相も議会を無視して、イラクへの空爆を行いました。民主主義とリーダーシップの兼ね合いが難しい時代ですね。こんな混とんとした情勢ですから、敢えて敵を作れるリーダーこそ求められていませんかね。
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2018年04月18日

清ければ、生きられるか


昔、劇作家の飯沢匡さんが「私は、悪魔に魂は、5分は売らない。」と言っていたことに感激しました。裁判官などはとても綺麗好きですが、綺麗ごとを言う人には、水清くして魚は住めないとぴったりの言葉があります。
しかし、世の中には「自分は清潔だ、悪いことはしない。」と外に向かって発言するエリート呼ばれる人達は沢山います。
戦後、配給されるだけの米で生活して、一切闇でモノを買わずに亡くなった裁判官がいたそうですが、この話が本当なら、何も悪いことをしないのに配給制度で命を奪われたのでしょうか。私も弁護士ですから、常に建前とか正義だけで生きて行けるなら、それも良いと考えますが、現実は大きく異なっています。

ですから、「悪魔に魂は、五分は売らない。」と考えると、人生はとても楽チンです。しかし、何らの基準もなく、清濁併せ呑んでいては、いつのまにか腹まで真っ黒になってしまいます。そこで、自己の信念である主義主張を悪魔に魂を売っても「過半数は、正義である。」との基準を持ちつつ、正しく生きてゆけばツキが回ってきて、人生何とかうまく行くと考えています。

ところで、何時の時代でも中心となって国を動かしているのは、官僚(役人・武士・貴族)です。世襲であったり、選抜試験を採用しても、結局のところ、社会に存在する種々雑多な正義不正義の混合物の中で、上澄みの綺麗なところから作られた試験問題を正確に記憶し、これを再現できる能力のあるエリートです。

このエリートは、先例に基づいて、自動販売機のごとく優秀な処理能力を示すのですが、想定外の問題について、清潔なエリートは対処できません。人工知能なら大量に詰め込まれた千差万別な知識・情報を億兆と組み合わせて、解決策を出すでしょうが、囲碁・将棋ならともかく、社会の問題解決は、人間に頼るしかないでしょう。その様な意味で清潔なエリート単一種は、生物進化の過程で消え去る運命です。

すなわち、常に同じ性質を持った個体が再生産(純粋培養)されてゆくならば、少し環境が変わればたちまち絶滅してしまうのです。ですから、同じ性質を持ったもの同士、同じ価値観を持った者だけでいるとき、皆居心地は良いのでしょうが、変化に対応できないのです。民主主義でも同じであり、みんなが同じ事を言うのであれば、多数は必要ありません。人と違うことを言う人間がいてはじめて、人間社会も変化に適応できると思います。多様性こそ発展の原動力なのです。江戸時代末期から明治にかけて、全国300余藩の多様性が発展の原動力でした。

これを生物の進化の過程から観察すれば、常に一定割合で変種個体(突然変異)が発生し、この固体は、環境に大きな変化があったとき、これまでと違う特色から環境に適応でき、この新変種が多数を占めるようになります。


ですから、混とんとして解決の糸口が見つからない場合、社会の上澄みの綺麗なところだけしか知らないエリートでなく、底辺に溜まった種々雑多な沈殿物の中から問題解決の糸口が見つかると思います。多変数の偏微分のようなトランプとか金正恩などに対抗するには、学歴なんかなく、奇人変人と言われるような人種が必要ではないでしょうか。

田中角栄とか、ハマコーなんかさしずめかき回した社会の沈殿物から浮き上がった「英雄」ですかね。相当の悪さもしましたが、歴史は、その悪さを希釈してゆくかも知れませんし、逆に今の法治国家の視点からは、賄賂政治をした悪の権化のような田沼意次は当時の英雄だったかもしれません。
posted by やすかね at 15:29| 千葉 ☔| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月17日

通訳の正しさは分かりません。

現在の通訳事件の実情です。
このブログでも何度か、書きましたが、今回は、中国語です。
道路交通法違反で起訴された中国人の通訳人名簿が法テラスからファックスがあり、留守中事務所に通訳人から「弁論要旨などを私の家まで郵送してください。住所は裁判所で聞いてください。」と電話があり、事務員さんがびっくりして「えっ、こちらが裁判所に電話して聞くのですか。」と言うとこの通訳「じゃぁ、教えてあげましょう。」と上から目線で住所を教えてくれ、ファックスはないか聞くと、今壊れていると言われたようです。
このやり取りを知らない私は、名簿にあった中から中国語が十分信頼できる中国生まれの知合いに電話して、記録を見る限り日本語は十分であるが、中国人妻の情状もありうるから、一応裁判前の打ち合わせ日程を入れました。
その後、通訳人とのやり取りを事務方から聞きましたので、私から通訳人に「既に知合いに頼みました。」電話してすると、『私が裁判所から選任されました通訳です。』『私は、裁判所で選任されましたので、費用は法テラスから出ます。簡単な打ち合わせでも良いです。』これを聞いて、この通訳人は日当稼ぎを生業としているに違いないと感じたのです。「貴方のところは、ファックスがないのか」「住所を裁判所から聞けといったのか」などと対応していると電話がプツンと切れました。
結局、本日の公判まで、この通訳人とは一切の打ち合わせもありませんでしたが、法廷で見るとどうも日本人であるとわかりました。裁判所には「被告人は、十分日本語が通じます。難しい言葉だけ、通訳をお願いします。」と言って裁判が始まりました。
滞りなく、審理が進み、当初の予定通り、即日判決があり、裁判官の判決言い渡しに続き日本人通訳が被告人の母国語である中国語に通訳していました。
裁判が終了し、被告人に「通訳人はどうでしたか。」と聞くと被告人は「ダメです。細かいところが言えていません。」とダメが出ました。
私は、通訳事件では、基本的に日本人に依頼しません。なぜかって、私に通訳人の日本語能力はテスト出来ますが、外国語の能力は判断できないからです。裁判所もこのような点を理解して通訳人の選任をすればと思います。
先月の法廷前の打ち合わせの時、依頼した通訳人に、私が法廷通訳人は、上から目線で、横柄であると、僕の依頼した通訳人に話していますと、彼女も思うところがあったらしく、あの法廷通訳人とは一度も在った事もないのに、盛んに私の悪口を言っている、と憤慨していました。
私もそれほど嫌なやつは、自分の偏見からきっと中国人だと決め付けていたところ、本日、法廷通訳人は、日本人だったということが判明したのです。
最後に書記官に、今日の通訳人はダメだったと被告人が言っています、としっかり伝えておきました。
多くの弁護人が裁判所の選任だと言うことで、外国語の能力判断もないまま、通訳をお願いしていますが、実のところ、日本人通訳が被告人の母国語に通訳しても、その通訳が本当に正しいか、裁判官も検察官も弁護人も、被告人さえも全く分かりません。ですから通訳人の宣誓は「良心に従って誠実に通訳します。」と正確さでなく、間違っていても誠実に通訳すれば良いと、最大限の譲歩をしています。ですから裁判所には責任はないのです。弁護士会の刑事弁護センターなどはどう考えているのでしょうかね。
posted by やすかね at 14:45| 千葉 ☁| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月30日

日本人の過剰反応

日本人の過剰反応
今年の2月から、裁判所の所持品検査が始まりました。これは、いわゆる「過剰反応」の一類型ですかね。一つ事件が起きるとその原因を探求して再発防止(弁護士とか、裁判官などの不始末)を考えるのでなく、何が起きても裁判所には責任がないという制度が必要なのです。
官僚はすべてに無責任体質、国家賠償法などがその典型ですし、裁判官などは、相当アホナ判決を書いても何らの責任は取らされません。
また、破産事件などでは、管財人が責任を負う体制となっています。官僚の無責任体質、これが所持品検査を必要とする根本的考え方ですし、次は、官僚の天下り先の警備会社の仕事が成田の関係で減少したことがあると考えます。
しかし、どんな警備体制をとろうとしても、テロをふせぐことはできないでしょう、テロはあちらサンの都合ですから、テロを警戒しそれを防止するため四六時中、全国で防御する事は不可能だからです。
結局、人間社会ではいつ何時不幸が訪れるか、予測する事は難しいのですが、裁判所の所持品検査だけ(9時5時4人体制人件費だけで4千万円?)の警備体制をとったとして効果はどの程度あるのか検証のしようがありません。しかし、誰かが所持品検査は国民の身体の安全のため、必要だなどと誰かが言うと、それについての費用対効果などから、反対意見を言う事は難しくなります。「もし起きた時どうするのですか。責任を取れますか」などと再反論されれば、結局反対意見は言えなくなります。まして、自分の安全は自分で考えろ、などと言おうものなら袋叩きでしょう。
しかし、施設管理権から直ちにすべての人の手荷物を検査することは「こいつは悪人だ」という前提での検査ですから、人権侵害となることは当然です。この点空港での搭乗者全員がお互いの安全のための所持品検査とは一緒にできない大きな違いがあります。
とにかく、成田での過剰警備に膨大な国費をつかっても、空港の金網に車が突っ込んだりした「事件」もありましたが、あれだけの警備を取っていても全く無力でした。さすがに、21世紀になり成田空港の警備が不要となったところで、出来てしまった組織を解体することの政治的背景から、裁判所でのくだらない事件(どこかの裁判所で包丁をもった犯人がいたらしい)をきっかけにして今回の身体検査・所持品検査となっていると考えます。
平和・平和と言っても武器証人に対する規制がないのでは、世界から紛争がなくなりませんし、我が国でも戦前のように、誰かが「贅沢は敵だ」などといい始め、これがどんどんエスカレートしてくると「非国民」のレッテル張りが始まるかも知れません。コワイですね、怖いですね。


posted by やすかね at 18:12| 千葉 ☀| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする