2008年02月28日

わが国の民事再生

平成20年、わが国の赤字国債は、約830兆円、1億円が38センチ(横5枚)×32センチ(縦2枚)×10センチ(千枚)ですから、この一億円の塊を積み上げると830キロメートルの高さになります。これがもう直ぐ1000兆円になるというのですから、1億人がそろって1000万円の借金を抱えている勘定です。

この天文学的赤字はどうしたらなくなるのでしょうか。普通にしていては、到底なくなりません。赤字国債を発行し始めた頃は、これは建設国債に限る。その理屈として、社会公共の施設は、世代を超えて使用するものだから、『世代間の公平な負担』という名目で1965年の補正予算で戦後初めて長期国債を発行する事にしたのです。

それまで均衡財政を維持してきた大蔵省は、この長期国債の発行に危機感を持って、赤字国債に歯止めをかける二つの原則を打ち出しました。@建設国債の原則とA市中公募の原則です。@は、社会資本として後世に残る、Aは、政府が国債を発行しても日銀が引受けたのでは、円が増大して市場が混乱すると言う考えでした。
A から先に簡単に言いますと、大蔵省と銀行の力関係から国債引受のシンジケートを組織させ、国債を一括で引受けさせたのです。その後1967年大蔵省は財政硬直化打開運動を始めるのですが、戦後から数回繰り返された選挙の結果、政治家の力が強くなり、自民党と利益集団の既得権益の確保と拡大を図る政権政党の力が健全財政を目指す大蔵省の意図を押し切り、また銀行に強い権限を持っていた大蔵省も国債消化も懸念なくできたことが、これほどの膨大な赤字国債を発行できた要因だと言う事です。制度的には、財政と金融政策が大蔵省と言う一つの組織に委ねられた結果であると言うのが政治学の通説です。

@ は、借金は、毎年の生活費に遣わない、孫子の代まで使える財産取得のためにしか、支出できない。という考えですが、公共投資という名で自民党政権とゼネコンをはじめとする利権集団によって際限なく国債が発行されてしまいました。その外には、自民党が選挙のたびに支持率を下げてきたので、社会党・共産党などが主張する、福祉充実を政権政党が選挙で負けないために自民党が採用していわゆる「ばら撒き福祉」をした事もあります。

しかし、年収500万円の人が、「この家は、孫子の代まで使用する」ということで5,000万円の家を建てたとしても、これは身分不相応な家であり、いわゆるサブプライムローンと一緒で、到底ローンを払いきれません。
また、社会福祉も、その時々の国民一人あたりのGDPから自ずと限界があるはずにもかかわらず、「福祉元年」の頃から政権政党の人気取りの為に無節操に支出をしたのです。
国家財政として、収入から支出を考えるのでなく、『軍艦も道路も空港も福祉もこれだけ必要だから』と言って、支出を先に考えて、足りない分は国債を発行する事で国の経済発展を行なおうとしたのです。その結果わが国は世界でもまれに見る膨大な、赤字財政を抱える「借金国家」に陥ってしまいました。

この巨額の財政赤字をどうしたら、解消できるでしょうか。普通に考えては絶対できません。
もう年配の方々、その多くが既に亡くなられたと思うのですが、戦前資産を有していた人たちは、戦費徴用のため大量の国債を買わされたのです。
(もし日本が世界を相手にして戦争に勝利すれば、満州国をはじめアジアを手中に収め軍部が力をもった帝国主義ができ、国債を買った人は大儲けをしたかもしれませんが、この様な結論は、民主主義の観点からも世界経済の力関係からも絶対ありえない結論でした。)

この大量の戦時国債は、戦後100倍200倍のインフレの結果、全く無価値となり、日本政府は膨大な国債を事実上返済しないで済ませてしまったのです。

前回の代表質問で、江戸幕府は、大量の借金を明治維新のドサクサでうやむやになったのではないかなどと言いましたが、江戸幕府は、大奥の浪費で作られた借金を事実上棒引きにし、また戦前の日本政府は、国債を発行する事で賄った膨大な軍事予算をインフレで事実上支払をしなかったのです。大変な損失をさせられた国民の殆どは亡くなり、国債は損をすると知っている国民は極めて少数となっています。

1965年から始まった国債の発行については、当時の政治家も官僚も『この赤字国債も、ケインズ政策の結果インフレが続けば、将来事実上返済しないですむ。』と考えたのでしょうが、政策で需要を作り出して経済運営をするというケインズ理論も限界があり、現在のような低金利では、不況脱出に金融政策もとれませんから、もう今までのように景気が回復すれば、税収が増えて、赤字国債も解消するなどとは到底いえないのです。既に政府の赤字国債を解消する手立ては極めて困難なのです。

しかし、赤字国債と国民の総資産が同程度あると言っても現代では、借金を棒引きにする徳政令などもできませんし、仮に国民の預金資産を全て没収して赤字国債と相殺するなどと言う乱暴な手段も取れません。秒単位で利息の膨らむ赤字国債を解消する手立てがないことは明らかでしょう。

江戸時代の大奥の作った借金、戦前軍部の作った借金が事実上なくなったのはそれぞれ明治維新と昭和20年敗戦ですから、大体80年としますと、戦後の公共事業と福祉で膨らました借金を「処理」するのは、あと10年後程度でしょうかね。もっと早いかもしれません。

それで、どうすると思います?
話は変わりますが、皆さんゴルフ場は、40年ほど前から、これも巨額の預託金を会員権名目で集め、20年ほど前に『ゴルフ場の大倒産時代がくる』などといわれたものの、多くの人があまり信じませんでした。ところが、もうゴルフ場の倒産は当たり前、預託金など帰ってくると考えている人はお目出度い部類の人となっています。

このゴルフ場が倒産し、民事再生法の適用を受けたりしますと、ゴルフ場用地が銀行の担保に入っていますので、多くの場合経営者が変わります。しかし、メンバーというお客あってのゴルフ場ですから、多くは預託金が返還されなくとも会員のプレー権は維持されています。

即ち、民事再生法の適用があって経営者が変わり預託金は、戻りませんが、プレーはできることから、あまり大きな社会問題にはなっていません。どうしてでしょうか、それはゴルフと言う優雅な遊びをする人、特にパブリックでなく会員制のゴルフ場で預託金を出捐で来た人は、この預託金がないと生活できない、という人々ではありませんから、ゴルフ場が破産しても民事再生法の適用があっても今日・明日の生活費がないという人は、余り多くないのです。

国債の場合はどうでしょうか。国債は国が借主ですので、もともと何も担保はありません。国債を買っている人は、特にゴルフ場のようにプレー権などという権利もありません。もともと国民は、国家に対して税金を取られる関係になっていますが、お金持ちは国に対して特に何かを要求する関係にもなっていない人々が多いのです。

沢山税金を払っている人々は、生活保護を受ける必要もないし、老人ホームだって有料のところに入るのです。せいぜい行政サービスを必要とするのは、外国旅行のときのパスポート、犯罪被害にあったときの警察、法的問題が起きたときの裁判などでしょう。その外は、地方自治体の行なうごみ収集の恩恵に預かる程度です。火葬場に行くときはもう関係ありませんしね。

このように、資産を多く持っている人たちが、銀行などに預貯金をしていても金利が付かないから金利の高い国債を買っておこうと考えて購入したのが国債なのです。そうであれば、この資産家たちの国債を無価値のものにしても、徳政令を出し、預金を全て没収するなどと行った乱暴な国策より、あまり大きな社会的問題にはならないでしょう。

そして、戦後60年以上が経過し、国民の中にかつて戦時国債で大損をした人たちはいなくなり、『国債を買ったら損をする。』と考えている人は、殆どいなくなっているでしょう。しかも国債を持っている人は資金的に余裕のある人々ですから、国債証券をタンス(注:これは昔のことで、今は金融機関が管理しているだけで、郵便局だけ「通帳」があるものの外では「通帳」もない、それ故本人が忘れれば、それまで)にしまいこんで「忘れている」かもしれません。

そしたら今がチャンスなのです。『法律によって、〇〇年月日から国債の取引を禁止する。』そしてその後『国債は、一律10%配当をする。』とやるのです。当然国民のものすごい反撃がでるでしょうが、多くの人は「ひとごと」なのです。国債がゼロになっても生活に困らない人々が多いでしょうから、結局『国債の損金は、以後10年間損失計上して所得税の減税をする。』などという程度でお茶を濁します。

その外に、これだけの膨大な赤字国債を処理する方策が見つかりませんし、資産家の国債をゼロにするのは、既に数多くのゴルフ場の倒産劇で有資産家たちは予防注射を打たれているので、結局『国の将来のためしょうがないか。』と諦めることになるでしょう。

この国債の「民事再生」は、責任のある自民党は当然の事として、民主党も仮に政権を取ったとしても膨大な赤字国債があっては政権運営に力が出せません。また労働者の政党である社民党共産党なども、その支持者で大きな損失を受ける人はいないでしょうから、多分賛成に回るのではないでしょうか。

国際的にどうなるでしょうか、皆さんソ連の崩壊とか、韓国の金融危機なども外国人である日本人にはあまり関係なかったように、日本政府の赤字国債を資産家である国民の犠牲で処理することは、対外的にも歓迎されるのではないでしょうか。実際、日本が一ドル360円で
買ったアメリカ国債などトウの昔100円になっているのです。

因みにアメリカの金持ちは、自分の資産はドル建てでは持っていないのですよ。ユーロとか、金とか、オーストラリアドルとか、で保持しているようです。日本の国債も持っている人もいるでしょうが、アメリカ人弁護士が訴訟を起すのでしょうかね。多分諦めるでしょう。日本の銀行だって政府と共犯ですから国債を無価値にされても何にもいえないでしょうね。

さてさて、自分の国債はどうしましょう?持ってません。
posted by やすかね at 14:05| 千葉 ☀| 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする