2007年07月17日

利息の功罪

7月13日最高裁で利息制限法に違反する高利で借り入れ、返済を続けた場合い発生する業者の不当利得の返還請求は、その発生時から法定利率年5%を付けて返済すべきとの判決がありました。(毎日14日)これで利息制限法に違反する高利についての解釈問題はほぼ峠を越したのではないかと思われる状況です。

私の事務所でも何年前からか分かりませんが業者から合計で一億円を超える過払い金の返還を受け「被害者」に返還してきました。最近は減少してきましたが、それでも未だ百万円を超える利息の返還をしているのではと思います。

政府は今まで、一方で国民にはゼロ金利政策で200兆円程の国民に支払うべき利息を払わない一方で不動産投資しかできなかった無能な銀行を救済するだけでなく、サラ金業者の暴利も「約束して借りたのであるから返済すべきである」と考えサラ金規正法の金利を認めていたのでした。

誰でも当たり前のように『金を借りたら利息を払うべきである』と考えている国民の常識を悪用し、政府・銀行・業者が「利息で不正義」を働き「不当利得」をむさぼっていたのです。

この様な社会の常識があるとき、消費者サイドに立った全国の弁護士が金貸しの高利は『違法である』と20数年前から声だかに論じていたのですが、ここに来て利息制限法を守れとの裁判が続き、金貸しの高利を継続したかった一部政治家も金貸しもようやく利息制限法を超過する高利を取ることをあきらめたかのようです。「利息制限法に違反する高利は正しいものではない」との社会的合意ができたようです。

この様な社会的合意ができるまで消費者サイドに立った全国の弁護士の奮闘があり、この奮闘に対して当初抵抗していた裁判所(簡易裁判所の書面主義と議員立法の貸金業法が金貸の手先の役割をはたした)もやっと正しい判断をしてきました。大げさに言えばブルータスもやっていた高利貸し連中の悪行が数千年の時を経てやっと認められてきた、と言うことでしょう。

続いて翌日、7月15日読売は「法廷利率引き下げへ」と報道しています。これは、民法の定める現行5%の利息(利息を付けるが、利率を定めなかった貸付の利息、期限に払わなかった家賃などに付く遅延損害金など)を引き下げる考えが出てきたと言うことです。

この法定利率の問題も、今問題となっている保険会社の不払いと同じく大いに問題があるのです。交通事故などで支払われる逸失利益(亡くなった人が生存していれば稼げた利益)が遺族に支払われる場合、例えば10年先の給与を本人が必要とするものを除き前払いするのですが、そのとき中間利息を年5%で引き算をするのです。

昔、銀行金利が年5%とか7%のとき定期貯金をしますと10年経たずに2倍以上になったのですが、保険会社は今逆の計算をするのです。その結果、若い人が亡くなれば20年30年と年5%で賠償金を引き算できますから、保険会社はこの低金利の時代でも被害者の命と引換えにとんでもない「投資」ができるのです。

新聞の計算によりますと、18歳の被害者が18歳から49年間働き約1億3800万円稼ぐとしても年5%で引き算をしますと3310万円を保険会社は支払えばすんでしまうのです。

posted by やすかね at 11:41| 千葉 ☁| 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする