要するに、法務省・司法試験委員会などが、司法試験合格者を増加させた(私の頃の300名が、平成28年で750名を越える)ことで、弁護士の社会的地位とか生活が成立たなくなり、弁護士を目指そうとする優秀な若者も著しく減少してしまった。ここを是正させようと考えていることが出発点です。
そこで、この4月から会長に就任した及川会長が、弁護士会の「議会」とも言える常議委員委員会に意見を求めることもなく、日弁連に対し、司法試験合格者を減らすべく協議を求め、日弁連が協議をしないとか、回答のない場合には、千葉県弁護士会では修習生の受け入れ制限をする、と少々過激ことを申し入れたことから、弁護士会の常議委員委員会及びメーリングリストで議論が「紛糾」しているということです。
これについて、会則上は、常議委員委員会は会長の諮問に応じて審議する場所だとか、今までの運営では「公共団体の議会」のような決議機関の性格を持っているから、常議委員委員会に諮らなかったのは問題だ、さらには、当初、日弁連に修習生の受け入れ制限が言えるのか、などの議論もあったのですが、冷静な弁護士から、各単位会に修習生の受け入れを委託するのは、司法研修所であるとご指摘を頂き、少し落ち着いたところです。しかし、中には自分が議論をリードするのだと言わんばかりに勝手に「論点整理」などする「おエライさん」もでる始末です。
この問題について、私は、次ぎの弁護士会の総会で議論することは、時間の無駄と反対したのですが、結局多数に押し切られました。その結果は、最高裁判所・法務省などが仕組んだ司法改革という戦略(よく解らない裁判員裁判制度導入など、本音は弁護士自治への攻撃)に対して、司法修習生の受け入れ制限という極めて限定的な戦術(何処に地雷を埋めるかという程度の戦術)を議論しても無意味と考えられますから、おそらく納得のできる着陸点も見つからずに時間と経費の無駄が発生することとなるでしょう。以下は、弁護士会のメーリングに投稿した「怒り」の一文です。
最近メーリングリストの登録したところ、どうでも良いような、話が延々と続いて食傷気味でス。要するに誰かさんがエラソーに「論点整理」などと銘打ち、論点が錯綜しているようで見る気にもなりません。閑話休題というところで、的外れとのご批判も受けるでしょうが、一休みしてください。
先ず、千葉県弁護士会が、司法試験合格者を減らせと、日弁連に協議を申入れするのは大賛成です。そこで、司法修習生の受け入れ反対という強硬手段に出ることも理解できないでもありませんが、話題性がある事はともかく、一度この様な強硬手段に出てしまった以上、話しが前進しないからと言って「撤回」は非常に難しいでしょう。わが千葉弁は、日弁連会長選挙で反主流派とみなされ、修習生受け入れを人質にとって交渉しようとしても、研修所(この点は、初めて知りました。ありがとう)を含め、日弁連もケンモホロロでしょうからね。
結局、強硬手段を執ってしまえば、北朝鮮のように引っ込みがつかなくなり、今後、関係各国からたぶん総攻撃を受けることもあるだろうし、今の会長が4年5年と息の長い戦いをできるならいざ知らず、千葉弁も振り上げたこぶしの下ろすところが無くなるでしょう。次期会長に長年会長を希望している、Iさんになっていただきましょうか。冗談
この様なことを考えたとき、今回の会長申入れを総会で「説明」をするのはともかくとして、「議論」などしても人の意見に耳を貸すほどの度量の人は少ないでしょうから、要するに時間の無駄となりこと必至です。
例えばですね、一昨日の常議委員会でのことです。総会の提案予定の予算書について、私が、60以上ある委員会の整理統合・予算減額など色々述べた後、来年度は一億円以上となる人件費が必要となるのですが、今の弁護士会の事務局の1週間あたりの勤務時間は、40年前の県庁・千葉市など法令では週40時間となっているところを法令に違反して週35時間しか勤務していない違法行為をわが弁護士会も踏襲して、現在では千葉県などが週40時間に是正していても、今に至るも弁護士会の事務局は、週35時間しか働いていない、ことが問題だと発言しました。
案の定、僕の意見に何でも反対の先生から「事務局は、35時間以上、遅くまで働いている」などと訳の分からない、「反論」をしていました。今僕が問題としているのは、一週間の所定労働時間の話であり、所定勤務時間後の、残業代を支払う労働時間など問題としているものありません。的外れの反論でした。このわけの分からない反論に、敢えて再反論しますと、40時間が35時間となっている場合、残業代にも影響してくるのです。年間の総支給額の分母が2018から1700になり、これに25%の割り増しが一時間あたりの残業代となるからです。
今、若手の弁護士は仕事も少なく、所得(売上でなく課税基準のこと)で言うと200万円程度の人は、ザラにいると思います。今の弁護士会の事務局には、多分停年で再就職しても月給制で、この夏のボーナスも2ヶ月以上支給されるようになっています。(常議委員委員会で承認)
殊更、事務局を苛めるつもりはありませんが、今の時代、公務員も、アルバイトが3割から4割と多いだけでなく、小中学校の教員も正式採用されず、1年契約などと言う非常に酷い契約で働かされているのです。将来の日本を背負う子供たちの教育現場で極めて劣悪な労働条件で働かされている先生も沢山いるのです。その様な中、弁護士会はまた2名採用したようですが、弁護士会の事務局に採用されるため、どんな難しい試験を受けたのか分かりませんが、そこには大いに疑問を感ずるところです。
左翼系の事務所が自分たちの費用で事務局を甘やかすのは、ご自由ですが、弁護士会の予算は、執行部が会員から預かっている財産を適切に、善良な管理者の注意義務で所属弁護士などのため使用されるべき予算ですから、執行部は正当な批判は甘んじてもらいたいと考えます。
以上、本論と別の話しをしましたが、今度の総会で司法修習生の受け入れ問題など『議論』するのであれば、恐らく何の結論にも至らず、論点整理などとエラソーに言う人が口角泡を飛ばすでしょうから、総会の費用の無駄遣いとなること必至と考えています。
人生80年として、生きられる700800時間の内、活動できる貴重な時間(233600時間)から3時間も4時間も無駄にはできないですね。
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