1789年のフランス革命から自由・平等・博愛(連帯)は、正義のスローガンとして世界中に広がりました。しかし、グローバルな資本の自由は、先進国と後進国の格差(南北)問題を引起こす一方、世界の資本主義国は、国内の格差(不平等)解消から社会福祉充実を行ってきたものですが、冷戦終結に伴う東西対立がなくなると、再び資本の自由(新自由主義)から、先進資本主義国での格差拡大は極限にまで達し、若者の就職と結婚も大変な状況です。
本来、国家の大きな目標は、資本主義社会を前提に平等な社会をつくることですが、小学生にも分かる過激な発言で白人貧困層の支持を取り付けた億万長者のトランプが大統領になった事は、トランプ流に言うと、「貧乏人が、どうして大金持ちを自分たちの代表にした」のでしょうか、理解不能です。
紀元前四世紀、ギリシャの哲学者プラトンは、独裁政治である哲人政治を唱えたのですが、今日の民主主義における反知性主義を予言していたのでしょうかね。
2017年元旦
こ難しい、とのお叱りをうけましたので、若干の解説です。
平等は、古代からの「正義」
近代社会となる世界の歴史は、1789年のフランス革命にはじまった(と考えます)ものの、人間の平等は、新約聖書使徒言行録「持ち物を共有する」で、皆が、お金など持っているものを持ち寄り、必要に応じて分配される社会(原始共産制)と書かれているのですが、現代においても根源的正義と考えられます。
帝国主義から世界戦争(植民地争奪戦)
しかし、人間社会は、産業革命後発達したグローバルな資本主義から、国(南北)レベルでの格差が世界の平和を脅かして(第一次世界大戦)います。また1917年にはじまったロシアの社会主義革命から、社会主義こそ人間の平等を実現している社会だと「誤解」されたことで、資本主義国では、左翼性政党が勢力を伸ばさないように、資本家に「搾取」される労働者の労働条件などを改善する必要最小限の「福祉政策」を採り続けたのでした。
それでも、ソ連解体から東西対立が無くなると、資本主義国の政府は、もはや労働者の保護政策など無用だとばかり、個別資本(経団連などでなく、〇〇自動車、〇〇化学など)による収奪を野放しにした(新自由主義)結果が『ブラック企業』の出現につながっています。
資本論の大原則(労働力商品が資本主義を支えている)
政府は、少子高齢化などと危機感を募らせていますが、その実体は、資本の論理から正規職員が減らされ、若者はアルバイト程度の収入しか得られず、労働条件が安定している正規職員として就職する事は、極めて困難となり、結婚するのも大変な状況ですから、このままですと労働力の再生産(結婚して子どもを出産して教育を施して、親同程度の教養を備えた労働者を育成すること)すらおぼつかなくなり、ひいては労働者から労働力を買い取り、儲けている企業の存続も危うくなっています。(資本主義の危機)
国家の本質は階級支配
この様な状況では、国家の存立目的(綺麗ごとでは、平等な社会、本音は資本家の支配)自体怪しくなり、一定の教育を受けた有権者の合理的判断に基づいて国政が運営される民主主義さえも、怪しくなってきます。
その象徴が、イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選挙でした。大衆迎合主義(ポピュリズム)というか衆愚政治が世界の趨勢となったとき、世界平和が危うくなります。フィリピンの大統領だけでなく、トランプ、極右のペロンなどが世界政治を動かしてくると、中国習近平とか北朝鮮の独裁国家も幅を利かせてきそうです。韓国を見ても政治家の指導力不足は明らかですから、この地球上から民主主義国家などなくなってしまいそうです。
地頭力のある指導者が求められている
今や世界の指導者として指導力を発揮しているのは、唯一、ロシアのプーチンだけとなってしまいます。それにしてもアメリカの大統領も権威がなくなったものです。アメリカは大統領選挙にロシアが関与したとして外交官35名ほど国外追放しました。これまでの外交慣例ですと当然ロシアもアメリカの外交官などを同数追放するのですが、さすがはプーチン「アメリカのオバマを相手にせず」とばかり、報復追放をしませんでした。(昨日3日の報道などを見ますと、ロシアではなく、サイバー大国のイスラエルこそアメリカ大統領選挙に介入したのではないかと思われますね。4日追加)
超大国のアメリカ大統領が、ロシアから相手にされないほど侮辱をされながら、アメリカは何もできないでいます。このままでは、世界の火薬庫での紛争にアメリカは指導力を発揮できないでしょう。
民主主義のこの様な危機を垣間見ますと、尊敬できる哲学を持った独裁者に政治を委ねるのが最善と考えたプラトンの思想に行き着いてしまうのですが、どうしたものでしょう。
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