2016年02月24日

弁護士会の自治(懲戒処分)

日本弁護士連合会の「公告」に日弁連若しくは単位会から、所属弁護士に対する懲戒処分の内容が掲載されています。私も、この様な不名誉な扱いをされないように「他山の石」としているところです。
ところで、皆さん、我が国のサムライ業(士)には、弁護士の外、司法書士、土地家屋調査士、弁理士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士、社会保険労務士さらには裁判(事務)官・検察(事務)官のOB再就職組の公証人等々色々あるのですが、弁護士を除けばそれぞれの監督官庁が処分権限を持っています。
例外として弁護士会だけが自分達仲間の処分ができます。どうして弁護士会は、仲間である同業者の懲戒処分ができるかご存知でしょうか。
答えは、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」(弁護士法第1条)からのなのです。外のサムライ業も基本的人権を無視しては仕事ができないではないか、とお叱りをいただきそうですが、実は、法律上基本的人権を侵害する人・組織は国家権力とこれを担う公務員であるからなのです。
しかも、「国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責めに任ずる。」(国家賠償法第1条)と定められ、公務員が職務上国民の権利を侵害しても国民が直接公務員「個人」に賠償責任を追及する事はできないことになっています。
裁判官などは、うっかり間違った判決をしても、全くの無責任なのです。その結果、国民は常に国家権力の濫用・間違いから被害を受ける危険性があるのです。そこで、弁護士法が、弁護士に対して国民の基本的人権を擁護する使命を与えているのですが、しかし、弁護士が法務省とか裁判所の監督下にあるならば、弁護士が基本的人権を守るため、国家権力を相手にして全力を出すことが困難となるからです。
そう言う訳で、全国の弁護士会は、公権力に関係なく、会員の処分ができる独立団体となっていますから、前述の弁護士会の「公告」が掲載されているのです。
しかしながら、パソコンで検索しますと、弁護士会の処分は、同業者ゆえに甘いのではないか、と多くの方々の厳しい声が上がっています。
因みに28年2月号の公告では、13件中一番重い「退会命令」(弁護士になる有資格者が弁護士会に登録してはじめて弁護士になれる)が東京弁護士会でありました。理由は41ヶ月合計157万円の会費と会館建設臨時会費130万円の滞納でした。
次に重い処分は、大分県弁護士会から業務停止1年、理由は依頼者から預かった預り金1千万円を返還せず、弁護士会からの照会に回答しなかった。(これなど業務上横領として刑事処分の対象ではないか?)
東京弁護士会から業務停止3ヶ月、これは、弁護士が3件の医療機関(?)からの相談で1億4千万円の嘘の公正証書(無効の判決が確定)を作成して、これらの医療機関が仮差押を受けていた診療報酬債権から3900万円余の配当を受けただけでなく、5000万円以上の配当要求をしていた事案です。これは詐欺罪の成立が考えられる事案であり、1千万円を超える詐欺などは実刑相当と思われますので、刑事処分が相当でしょうし、退会命令の滞納額157万4000円と金額で比べて見ると、処分は甘いですね。
また、兵庫県弁護士会では気の毒な処分が出ました。業務停止2ヶ月は、入会金10万円と2014年1月の日弁連会費と同年2〜5、7〜11、2015年1月分合計65万4500円を滞納し、2015年2月に全額支払ったものの、業務停止2ヶ月です。払えるのに払わなかったのか、弁護士の仕事が無かったのか、弁護士としての能力不足か分かりませんが、入会金を払わなくとも入会できるのが不思議です。
東京弁護士からさらに業務停止1ヶ月が2件ありました。10分の6の建物の相続を受けた相続人から依頼を受け、外の相続人8名の同意を得ることなく解体した。もう一件は、知り合いの事業資金のために自分も保証人となって、弁護人を勤める被告人から3200万円の融資を受けさせ、50万円で控訴事件を受任するも控訴趣意書も作成せず、辞任届けも出さなかった事案です。
その外の7件は、全て「戒告」という注意処分です。建築紛争でアドバイスした人が訴えた事件の被告の代理人となった双方代理、訴えの提起を催促されながら2年半以上訴えを提起しなかった、行政書士の作成文書に顧問弁護士として記載することを認めた、家事事件で有利に進めようとして相手方である夫に不貞相手の連絡先などを開示なければ勤務先に連絡するなどと夫を困惑させた、2年間事件処理をしなかった、過払い金の清算義務などを怠った、預かった通帳を別人に渡してしまい、損害賠償席有されるとその別人の代理人となったなどの事案です。
一概に処分が軽いとか、甘いなどとは言えませんが、刑事処分となるような事案では、例え公訴時効になったとしても許せないと考えます。政治家も相当古い事件で叩かれたりしていますね。
posted by やすかね at 13:47| 千葉 ☁| Comment(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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