2014年04月03日

若者に将来が見えるか

先日、某国立大学大学院で物理学を学んでいる子どもの将来を心配している親御さんと話をする機会がありました。その結果、今時、ソコソコの大学を出て就職しようとしても将来に希望が持てない、との結論に達しました。
実際、医学部・薬学部など一部の例外を除き、普通の学部を卒業しても正社員として安定した収入を得ることが大変難しくなっています。
かつては狭き門で、若者が殺到した弁護士・税理士・司法書士・公認会計などの「自由業」の試験自体、合格しても未来に希望の持てる職業とは言えなくなりました。その辺の事情を書き綴りたいと思います。そうそう、坊さんは、イイデ!

1、司法改革は「大成功」だった?
司法制度改革の失敗について、少々長いのですが、昨年5月25日のブログに書きました。しかし、最近、司法改革は「失敗」などではなく、わが国で国家権力を牛耳っている官僚の思惑が見事に実現した「大成功事例」なのだと実感しています。長くなりそうですが、お付き合い下さい。
憲法には「主権が国民に存することを宣言し」(前文@)と国民主権を宣言しているのですが、その実体は、今年の年賀状に書いた通り、国民から税金を徴収して生活の糧とする官僚こそ国の主人公と言える「官僚主権」です。
また戦後、選挙制度は、差別のない普通選挙に変わったものの、選挙に関係なく身分保障された官僚は、明治以来わが国の内政外交の全てを取り仕切って、国の舵取りをしています。アメリカのように政権交代があれば、エリート官僚が、入れ代わってしまう(仮に前任者が悪事を働いていれば全て暴露されるでしょう。)国ならいざしらず、わが国では、政権交代があっても官僚組織はそのまま150年以上続いています。
ですから、官僚が握っている国家運営上の重要秘密などは、何時になっても明らかとならず、わずかアメリカとの外交関係の秘密書類(沖縄施政権返還など)がアメリカ側から明らかにされる程度です。その証拠に未だに明治時代の秘密なども官僚から開示される事はありません。御前会議の議事録など開示されれば、わが国の意思決定の過程が明らかになり、興味深いものです。
この様な理由から、わが国の主権者は、官僚とその組織に間違いはありません。そして、この官僚の立場から、わが国の「自由業」の連中を見たとき、特に弁護士などは、社会的地位があり、収入も多い、しかも「弁護士自治」を根拠に権力に楯突く存在です。この様な弁護士連中の「羨ましい生活」は、(官僚から見ると)国民生活の実態からかけ離れているので、少なくとも官僚レベルにすべきである、との結論に至るのではないでしょうか。
そこで、次に、どうやって弁護士会の自治を潰して弁護士を締め上げるか、と優秀な官僚が考えた結論は、弁護士の大量増員を図って弁護士会に自由競争原理を持ち込み、ホッブスの言う「万人の万人に対する闘争状態」にすれば、弁護士が孤立するだろう。この「司法改革」の過程では、弁護士の反対を抑えるため、弁護士に対する社会的需要が増大するなどといい加減な理由をつけていたのが学者で座長の佐藤幸治などで、利用されたのが、煽てられて木に上ったのが中坊公平などです。
また司法書士も大幅増員(昔は、毎年3〜400人の合格者が今2千人)して、弁護士の仕事の一部ができるようにする。その様にすることで、官僚に楯突く弁護士(会)に大打撃を加えることが出来ました。間もなく弁護士自治も叩き潰されるでしょう。

2、公認会計士・司法書士も打撃を受ける
悲劇的なのは、公認会計士です。公認会計士は、上場企業の会計監査を行って、株式市場の健全化を進める役割を持っています。しかし、監査する企業から報酬をもらって企業の会計を監査するという制度上の矛盾から、昔から粉飾決算はあったのです。蛸が自分の足を食っても、自らの命と引換え程度ですが、公認会計士が粉飾決算に手を染めるなどという事は、資本主義社会の基盤を食いつぶすことであり、社会全体を不況に陥れるものです。実際、アメリカのエンロンの不正経理などは世界経済に大きな悪影響を及ぼしました。
わが国でも、公認会計士が悪徳企業家と結託して、度重なる粉飾決算を行って資本市場を混乱させ、社会の信用が大きく失墜させられたことから、その後は、当然の報いとして公認会計士の試験に合格しても実務経験がなければ公認会計士として登録が出来なくなりました。そこで試験合格者は、登録するためには、公認会計事務所に就職することが不可欠となるのですが、しかし、少々生意気な奴(裁判官では、生意気でなくとも疑問を持つだけでアウト)とか高齢者は就職できませんから、公認会計士となる資格を有するだけの単なる「有資格者」であり、自由業として登録して独立するなどという事は不可能です。
会計士の不正経理は、社会にとって深刻な事態を引起こしますので、登録制限などやむを得ない事由もあるでしょうが、しかし、試験が難しい上に猫をかぶって就職しなければならないのでは、魅力的職業とは言えなくなりました。
私が学生の頃は、会計士は、お抱え運転手付でゴルフ・買い物など優雅に生活していたのですが、単なる数字をチェックする会計処理の仕事で、その様な優雅な生活ができることが不思議でしたが、「贅沢な生活をしている奴は、やっぱりなぁ」というところです。
司法書士は、どうでしょうか、不動産バブルのときは、弁護士以上の収入を稼ぎ出し、我が世の春を謳歌してきました。今、不動産登記は、むかし偉そうにしていた法務局の職員が登記申請者に懇切丁寧に教えることから、本来の司法書士の仕事は、かつての2割以下に落ち込んでしまいました。その後、仕事減少から、ロビー活動を活発化して簡裁代理権とか破産など弁護士がやりたがらなかった「仕事」を弁護士から奪い取りました。
しかし、前述のように司法書士試験も大量合格者を輩出することで、手段を選ばない競争社会となり、毎日、スポーツ新聞・ラジオ・テレビなど派手な宣伝を使って、サラ金業者に対する過払いを専門とする司法書士が出現しています。こうなりますと、社会正義を実現する使命をもって法に携わる資格者ではなく、単なるゼニを取ることをナリワイとする「商売人」に成り果てています。
税理士は、どうでしょうか。会計学・経済学・税法など、5科目の試験に合格した人のほか、長年税務署に勤務してきた退職者が国から税理士の資格をもらって、中小企業などの確定申告をしています。
しかし、税務署OBの税理士は、その多くが高卒で長年、特定分野の税法(資産税・所得税・消費税)のエキスパートですが、税法全般に十分な知識があるとは限りません。しかし、税務署の方を向いて仕事をする税理士として税務署のおメガネには、適っています。
逆に大学をでて試験を受けて税理士になっても、いきなり仕事があるとは限りませんですから、多くの有資格者が登録もできずにいます。これでは、若者が希望をもって目指す試験でもないようです。

3、目指せ、公務員!
この様に、現在ある色々な資格でもって一生の仕事とするのは、どれも大変ですから、優秀な若者は、国家の主権を握っている検察官・裁判官・警察官・教員などの公務員を目指すのが一番安定した生活基盤を作れると思います。しかし、公務員となるとき最大の問題点は、人事です。
公務員組織では、真に優秀な人だけが出世できる保証はありませんから、常に上をみて、上司に「愛いやつ」と可愛がられないと昇進できません。しかし、平目人間ばかりがエラクなる社会・組織では、わが国の国力は、萎んでしまいます。知識だけでなく、智恵のある優秀な若者が公務員にならないと隣の中国韓国に遅れを取ります。

4、競争社会で、もの作り職人こそこれからのエリートだ
結局、公務員になれない人、公務員が嫌な人は、いっその事、大学などに行かないで、優秀な親方に弟子入りして大工などの職人を目指すことが、一生モノの技術が身につきます。旋盤工でも、料理人でも、優秀なものづくり職人が尊敬される社会になることが期待され、またそうなると信じています。  
いずれにしても、これからの日本社会は、適材適所で人材の能力を発揮させることで国力を増大させなければなりませんから、大学を厳選して、優秀な人は大学院まですべて無料で行けるようなシステムを作る必要があります。
結果の平等でなく、機会の平等を徹底することは、ある種の格差を招きますが、本来人間は平等ではないのですから、一定の格差は「差別」とは言えないでしょう。正しい競争社会では、イチロー、マー君のような高額所得者がでて当然なのです。
フランスのように中学卒業からすべて国会試験にして、優秀な人は一切の授業料が必要ない制度にすることも、正しい競争社会と考えられます。
posted by やすかね at 15:35| 千葉 ☔| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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