2007年02月06日

ローマ(でなく労働者)の休日

本日の産経に各国の最低賃金が報道されていました。オランダは月給の最低として180,479円、以下時給としてフランス1,162円、イギリス1,096円、カナダ678〜860円、アメリカ602円、わが国が673円だそうです。最近のユーロに対するドル・円安が影響していると思いますが、為替は結局購買力を示しますので、変動してもこれが現在の生活水準を示しています。

これを見ますと、わが国の最低限の生活はヨーロッパに比べ7割以下の生活となります。さらに一年間の労働時間などを比べて見ますと、日本人が決して豊かな生活をしているとは言えない状況です。

最近、何件かいわゆる労働事件を扱いました。この中で、今まで知らないことを知らなかったことがあり、大分ショックを受けた次第です。

信じられないでしょうが、多くの弁護士が労働法といいますか、労働基準法、特に解雇権濫用法理を知らず、会社は一月分の給料を払いさえすれば解雇できると誤解しており、その度に『しょうがない弁護士だ』などと言っていたのですが、実は自分も週休二日制について全く誤解をしていました。

週休二日制といえば、土曜日曜は完全に休みで、土日に働いている人は他の平日に二日の休みがあると『誤解』していたのです。そこで、完全週休二日制の下では、年105日(365日は52週と1日、ですから104日だと週40時間(労働基準法32条1項)を超過してしまう。)の休みのほか国民の祝日に関する法律の15日、年末(29,30,31)年始(1,2,3)の休み、夏季特別休暇(5日程度)、さらに有給休暇20日、最後には療養休暇・忌引き休暇などが労働者に「保障」されている休日と思っていました。

そこで一年間の労働時間は、年105日の休日ですと(365-105)×8=2,080時間、さらに15日の祝日を引き1,960時間、年末年始48時間を引き1,952時間、年休20日160時間を引き1,792時間、ここいら辺りでやっと、ヨーロッパの労働時間に接近してきます。

実は、わが国は昔から国際的に、労働者は長時間労働であり、日本の企業はいわば外国企業に比べ「不正競争」をしているといわれていたので、最近になって「国際水準」に達したと誤解していました。

即ち、労働基準法で週40時間労働制が決められ、さらに就業規則で、週40時間労働と定められていても、就業規則の別のところで「変形労働時間制」を採用し、一年間の休みを105日と設定すれば、これは土曜日曜さらに祝祭日、さらに年末年始、夏休みを含め労働者の休日は105日あれば、労働基準法に何ら違反することはないのです。(労働基準法32条の2,3,4)

ですから、国民の祝日に関する法律では、「国民の祝日」を次のように定める。(第2条)とし、第3条で「国民の祝日」は、休日とする。と定められていても、就業規則で一年間の休日は105日と規定すれば、国民の祝日の15日は無視しても良く、休みは105日で足りるのです。従って、民間企業では「完全週休二日制」でも年28回程度(祝日15日、年末年始6日、夏期休暇3日、ゴールデンウイーク4日として)の土曜日は出勤しなければならないのです。

結局、何のことはない、52、3回の土曜日のうち28回出勤しても一切残業手当は不要なのです。また土曜日を休みとして祝祭日に出勤しても休日出勤手当(残業手当)の支払義務はないのです。

迂闊にも、土日に営業しているデパートなどでは代休制度があり、祝日などの勤務については全て代休か残業手当の支払があると思っていたのは大いなる誤解の典型でした。

して見ますと、週休二日制とか国民の祝日に関する法律は公務員などには完全に適用されるものの、民間企業では就業規則さえあれば、祝祭日の「取り上げ」のような制度になっています。その外年20日の有給休暇があり、療養休暇、さらには忌引きなどあれば、一年間の労働実数は大幅に減少してきますが、それが「公務員天国」などといわれるところですかね。選挙のときなど残業と代休があるのですかね。

しかし、変形労働時間制は過半数を組織する組合がない場合などは、労働者の過半数の代表者との書面による協定が必要なのです(32条の4第1項)から、この過半数を真実代表しているか、が証拠上重要です。特に誰かがこの書面による協定に異議を述べたことから不当な配転などの処分を受けた場合は大いに問題が残るでしょう。いずれにしても、日本の企業が外国から「不正競争だ」といわれないためにも、労働条件は引き下げるのではなく、引き上げる事が重要と思います。
posted by やすかね at 17:29| 千葉 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする