2006年12月31日

文明と戦争どちらを選ぶのか

2006年は、これまでになく、色々の事件があったように思います。30日はイラクのフセイン元大統領が死刑になりました。目的の存在しなかった、戦争でアメリカの若者3,000人が戦死し、15万人のイラク人が死亡しました。フセインの死が最後なら・・これで良い訳でもありませんが、イラク戦争とは一体なんだったんでしょうか、わが憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」と何時の時代も戦争は政府が引き起こすものであるとの認識のもと、戦争放棄と国際平和主義を宣言して今日にいたります。

憲法制定から60年、現在自衛隊という名の軍隊はあるものの、わが国軍隊(自衛隊)の撃った鉄砲で一人も死んでいないことは世界に特筆すべきものと考えます。ブッシュが戦争を始める前に「テロとの戦争」「テロに対しては先制攻撃が許される」などと述べ、これによって多くの若者・女・子供が巻き添えになったものの結局「フセインとテロ」との関係はなんら証明されないまま、未だにアメリカはイラクからの撤退ができないでいます。

ロシアもアフガニスタン、チェチェンなどで手痛い失敗をして、それに懲りたか現在ではエネルギーで隣国を支配しようと考え、わが国も北方領土問題が進展せず、またサハリンUでは大きな経済的打撃を受けています。常に投資に見合う利益との平衡を考えながら開発を続けないと、とんでもない損失を受けさせられます。相手政府も根本的には信用できないでしょう。

同じようなことは中国でもいえます。人件費が安いということで先々の事を考えずに資本を投下し日本の技術を中国人に教えて沢山儲けてやろうなどと考えていますと、突然「都市計画法が変わった」等といわれ、工場も技術もただで取り上げられてしまいます。中国は大陸から太平洋に出るときは日本列島が大きく湾曲しながら中国大陸を包んでいますので、日本はどうしてもやっつけたい国(仲良くすれば良いのにね)だと思います。

この点、北朝鮮などは中国よりもずっと日本列島が邪魔になっていますので、日本を無視しては生きてゆけないはずですが、強がりばかりが、目立っています。

しかし、日本はアジアにあり、アラブ諸国と友好関係を作れる立場にあるのですから、アメリカの妾のように、何でもアメリカを信じ、アメリカについてゆくだけでは将来はないでしょう。

国連の常任理事国入りで話題となったドイツもブラジルも日本もそれぞれ隣国とは色々な問題を抱えているのですが、この三国はそれぞれの地域の中では優等生であるし、いうなれば諸問題も、実のところ隣国の妬みというものでしょう。そうであれば、隣国はどのような妬みを持っているかきちんと国家戦略をもって隣国の妬みを分析して、日本はアジアでのリーダーシップをとる必要があるし、その能力もあるはずです。

わが国を取り巻く情勢がこの様なとき、いよいよ自民党は憲法改正論議を盛んにやろうとしているのです。アメリカの戦力をもってしても、ロシアの狡賢さをもってしても、今の時代、戦力で他国を圧倒しようとしても不可能である事をきちんと理解すべきときです。

その様な意味で憲法の掲げる国際平和主義、戦争放棄と戦力不保持という世界に先駆けた素晴らしい憲法の何処がいけないというのでしょうかね。先日も書きましたが、伊藤真氏の「高校生からわかる日本国憲法の論点」この内容が理解できていれば、憲法改正論者の能力が高校生以下であることがハッキリします。

若干引用させていただきますと、46年6月25日国会での吉田首相の答弁「憲法自体は直接自衛権を否定していないが、9条2項により一切の軍備、国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も交戦権も放棄している。従来、戦争の多くは自衛権の名のもとに行なわれており、これを放棄することによって全世界の平和の確立の基礎をなし、全世界の平和愛好国の先頭に立って世界平和に貢献する決意をこの憲法において表明したいと思っている」(前述伊藤真憲法165頁)

また、同年8月27日貴族院本会議で幣原喜重郎国務大臣の答弁「第9条は戦争の放棄を宣言し、わが国が全世界中最も徹底的な平和運動の先頭に立って、指導的地位を占むることを示すものであります。今日の時勢になお国際関係を律する一つの原則として、ある範囲内の武力制裁を合理化合法化せんとするがごときは、過去における幾多の失敗を繰り返すゆえんでありまして、(中略)文明と戦争とは結局両立しえないものであります。文明がすみやかに戦争を全滅しなければ、戦争がまず文明を全滅することになるでありましょう。私はかような信念を持って憲法改正案の起草の議にあずかったのであります」

ケネディ大統領は「人類が戦争を滅亡させなければ、戦争が人類を滅亡させるであろう」という有名なせりふの20年ほど前に幣原喜重郎が「文明が戦争を絶滅しなければ、戦争が文明を全滅することになる」(以上前出166頁)と言っていたのです。

イラク戦争でのアメリカとかアフガンでのロシアなどの戦争がどうなったのかを吉田首相と幣原喜重郎の言葉を基準にして判断すれば一目瞭然です。アメリカ・ロシアなどは『過去における幾多の失敗を繰り返すゆえんでありまして』またケネディの『人類が戦争を滅亡させなければ、戦争が人類を滅亡させるであろう』という言葉で世界平和の真理が語られています。

最後に一言、憲法は国民が権力(今の自民党)を縛る法ですから、権力者がこれを自分たちの都合のよいように「改正」したいのは当然なんです。自分が死にたくはないし、人を殺したくもない人は平和憲法を守るべきです。憲法を変えようと考えている連中は、自分とかその家族は戦争には行かないですよ。イギリスの貴族は戦争のときは真っ先に戦場に行くそうです。貴族だから。
posted by やすかね at 21:07| 千葉 | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする