「座右の銘と世界情勢」
昨日というか、今朝は役所の難解な文書に対して、随分と時間を費やしてしまいました。この文書を現実に書かれた担当者が、約3行程度の3つの文書作成にどの程度の時間をかけたか知る由もありませんが、文書の「解読」に2時間、添削に3時間ほどの合計5時間かかり、司法試験合格直後アルバイトで行っていた「論文式試験」添削の苦労をまた味わってしまいました。
その様なわけで、少し有益な時間を使おうと考えていたやさき、大学受験で毎年質問されているという問題、「君の座右の銘は?今の世界情勢は?」について考えて見ます。
このような質問を浴びて、一瞬たじろいだのですが、最初の座右の銘が中々浮かんできませんでした。日ごろ好きな言葉「志は、気の帥なり」はどちらかと言うと人様に偉そうに言う言葉でしょうから、大学受験ではふさわしくありませんね。そこで、以前どこかで書いたのですが「力ではなく、言葉による平和」を座右の銘として揚げ、次に世界情勢は?と聞かれ、どうするかとなります。
抽象的に世界情勢、と考えても中々出てきません。そこで、今地球的規模での最大の問題を考えますとこれは、地球温暖化対策ですね。これは世界の列強が生き残りを賭け、エネルギーを求め経済活動をしている結果であるし、アメリカが「イラクに大量破壊兵器がある。」と嘘をついてイラクを攻撃したのもイラクの石油資源を狙っているのが根本的動機でしょうね。
ですからアメリカは「北朝鮮に大量破壊兵器がある」ことが地下核実験で証明されても北朝鮮には石油はありませんから、アメリカが北朝鮮を攻撃して金将軍様の政府を転覆でもさせたら、大量の難民が周辺諸国に押し寄せたら大変です。従って、アメリカは北朝鮮を攻撃などしないでしょう。北朝鮮もそのことを知っていますから、6カ国協議などに参加して、従順さを装っても絶対核は放棄しないでしょうね。
結局、アメリカも北朝鮮もわが国だって「民族の保存」が最大のテーマですし、もっと遡れば人類の生存、さらには地球上の全ての種の保存、これが究極のテーマとなると思います。
単細胞のアメーバーも単純に細胞分裂を繰り返すだけでは生き残れませんから、環境に合わせて自分を変えてゆきます。鳥インフルエンザウイルスだって、どんどん変化してゆきますが、これも全て種の保存のために自分を変えてゆくのです。もう少し進化しますと、お互いの遺伝子を共有しあい新しい生命を誕生させ、適者生存にまかせ、自分たちの種の保存を図っています。
こう考えてきますと、最近のペットのように繁殖も、子育ても自分でできず人間の手を借りるようになっては、その種のペットは本来生物学的には「種の絶滅」状況と思います。
結局、雄と雌はお互いの遺伝子を半分ずつ出し合って、新しい生命を誕生させ、この新しい命が厳しい自然環境で生き抜けるかに自分たちの将来を賭けているのです。動物の世界では、新しい生命も、親から、これから生き抜く力と頭がないと判断されれば殺されてしまうのです。厳しい自然の中では、途中(生殖能力まで成長しないで)で死んでしまう弱い生命は、他の生命の負担にならないように「処分」されてしまいます。
話が若干それましたが、人間を含め地球上の生命は「種の保存」をかけて争っているのです。しかし、理性を持っている人間は力ずくで生きているのではありません。いまだ世界の政治は言葉によるルール(法)で全てが規律されているとは思えませんが、国家権力の成立しているところでは不十分ですが、「法の支配」が確立し、言葉によって秩序が保たれています。
結局、「種の保存」から考えを進めてきますと、人間社会では「力ではなく、言葉による平和」、座右の銘としては、もう少し短く「言葉による平和」と言うことが含蓄のある座右の銘ではないでしょうか。
「言葉による平和」と言って、それはなんだと質問をされたとき、人間を含め生命のあるものは全て「種の保存」の原理で行動し、そのために力によって相手を殺しあうのが自然であるが、理性を持つ人間は言葉と言う法で平和を維持しているのだ、しかし、今の国政情勢は必ずしもそうではなく、地球環境保全という究極の目的を前にして、未だ「パワー・イズ・ライト」の状況である。
しかし、現実はアメリカもイランで完璧な勝利を得ることができず、北朝鮮問題も難民救済という「人道的負担」を見せられると、アメリカが力で迫っても北朝鮮に勝ち抜けないであろう、と思います。
そこで、アメリカ合衆国圏内、ヨーロッパ圏、とアジア・オセアニア、それにアフリカを見ると、今まで世界の富は、アメリカ一極に集中していたと思うのですが、今ではヨーロッパ、アジアに分散化されつつある。その証拠と言ってはなんですが、新聞・テレビでも日本では常に円とドルの相場しか考えていないが、実はドル・円はユーロだけでなく、アジアの各国通貨に対しても相対的に力が落ちています。最早、力だけでは不十分であるし、「種の保存」を支えるエネルギー問題も何時までもアメリカだけに勝手にはさせないぞ、京都議定書も批准してこれを守れ、と言うのが世界の流れかもしれませんね。