2006年10月17日

日本の味の根源・塩談義

そうですね、もうかれこれ20年になりますかね、自前の味噌を作り始めてから・・まただいぶ前から、有力なダイエット食品として、歴史と伝統のある貴重な文化として日本食は世界中で評判を博しています。その日本人の味は味噌・醤油をベースにしていますが、忘れてはいけないのが、この味噌・醤油の保存と味を決めている塩ということです。

自宅で味噌を作り始めたとき、仕込み方もありますが、塩分濃度をどの程度にするか、10.5%から0,5%刻みで13.5%まで試作したこともあります。結局塩味が薄いと保存が難しく、13,5%ですと「少ししょっぱい」味噌となりますので、最近はずっと13%で仕込んでいます。

ところで、最初の数回は当時の専売公社の塩化ナトリウムとあら塩を使用していました。しかし、折角自前の味噌を仕込むのに化学薬品のような塩化ナトリウム99%では他のミネラルもないし、なんと言ってもしょっぱい味噌となってしまうのです。(本稿は3月20日に書きましたが、掲載を忘れていましたので、ご紹介します。もう、美味しい手前味噌は出来上がっています。)

そこで、当時飯沢匡氏の著書で沖縄の塩の紹介があり、早速電話をして取り扱い業者を教えてもらい取り寄せて仕込みました。とにかくしばらく塩に凝っていた時期もあります。

その頃の事ですが、千葉の富士見町に伊万里という自動ピアノを置いてある日本料理店があり、そこに初めて行ったときの話です。ビールのつまみに出された枝豆を食べたところ、枝豆に降りかけてある塩の味が違いますので「マスターこの枝豆の塩はどこの塩ですか?」と聞いたところ、マスターは『良くぞ違いを分かってくれた』と感激して、しばしメキシコの岩塩の話を聞くことになりました。

そういう訳で、味噌の仕込みには沖縄のシマ・マースとか赤穂の天塩とかを使っていましたが、要するに純度の高すぎる精製塩(塩化ナトリウム99%)でなければ、と言う程度の認識でしたが、今日(3月20日)のNHKで長崎県平戸の塩作りが紹介されていました。

他で5年間塩作りの修行をした、とても柔和な顔をした若者(小学生にはおじさん)が、海がきれいで、しかも山からミネラルの絞れる海岸を探し歩いた結果、平戸の海岸に塩の製造小屋を建て一生懸命塩作りをしていました。

製造方法ですが、まず空中に仕掛けた網にポンプでくみ上げた海水をかけ、風と太陽の熱で海水の塩分濃度を5倍にしてから、次に釜で14時間煮込んでつくります。何時間煮込んでも、海水の塩分濃度は一定であろうから「塩は全て同じ成分構成だろう」。海水に熱を加えて水分を蒸発させれば塩ができるんであるから、加える熱は一定であれば良いし、なにも14時間も付きっ切りで火の番をする必要も無いであろう、と考えていました。実は、これが全くの浅はかそのものなのです、全く分っていませんでした。

塩分濃度を増した海水を釜にかけ、蒔きで焚きながら加熱していきますと最初にカルシウムの結晶が浮いてくるのです。これを丹念にすくい上げ捨てているのがポイントのようでした。実は、このカルシウムは砂を噛むような味がして舌触りも良くないと言うことです。単純に海水を濃くしただけでは旨い塩はできないのです。

炎の調節も薪で行うことにより、結晶に微妙な変化が出るようです。塩の主成分は塩化ナトリウムであるが、そこに塩化マグネシウムなどのにがり成分が微妙に混ざっているのが、「旨い塩」らしいのです。

塩化ナトリウムが塩の辛さを出し、にがり成分などが塩の甘さ、苦味などを演出するようで、このときの塩化ナトリウム濃度は71%であり、平戸の塩は93%、専売公社の塩が99%だそうです。

そこで急に思い立ち「さて、我が家の塩はどうなっているのか」と疑問を持ちましたので、早速成分表を見ますと、「瀬戸のほんじお」は、塩分(塩化ナトリウム)濃度が84,9%であり、成文表はナトリウム33,4g、カリウム3340mg、マグネシウム370mg、カルシウム210mg、「赤穂の天塩」塩分濃度92%であり、成分表ではナトリウム36g、カリウム35mg、マグネシウム550mg、カルシウム20mg、と書いてありました。成分が全く違っているのです。

今まで専売公社でなければ、と考えていたのが、認識を新たにしたというところです。今年の仕込みは「瀬戸のほんじお」でしたので、解説によれば「塩辛さ」を控えめに感じさせるので、塩分を取りすぎることになるやも知れないとのことのようです。来年はしっかりと93%に近い塩を選んでやって見ます。美味しい味噌の味も山から搾り出されるミネラルときれいな海からの贈り物です。命を支える地球環境が守られなければ人間の幸せもありません。
posted by やすかね at 11:28| 千葉 ☁| 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする