2006年10月03日

蜘蛛の糸の卒業試験

最高裁は、28日司法研究所の卒業試験(いわゆる二回試験)で107人が落第したと発表しました。法曹になるための試験は通常の司法試験と司法研修所に入所して法律実務の研修を終えた後、研修所の「卒業試験」を合格する必要があります。司法試験に続く「厳しい試験」と言うわけでしょうが、二回試験といわれ法曹資格を取得するための最終試験となります。

原則として、法曹(裁判官、検察官、弁護士)になるには司法研修所の修習を修了する必要がありますので、二回試験に不合格では、いくら難関の司法試験を通過しても最終的に法曹にはなれません。

例外として大学法学部で教授・助教授の経験者とか、検察庁での特別試験などに合格して弁護士・検事になれるほか、最高裁判所の裁判官には行政マンとか外交官の経験者からも選出されます。最高裁判所の裁判官は三権分立の司法権を行使するトップとして、また最高裁判所裁判官会議の構成員として司法行政権を司りますから、法曹資格を有する者に限定しない必要があると考えているのでしょう。

そう言う訳ですから、普通の人間は何はともあれ、二回試験を突破しなければなりません。司法試験の合格者が500人のころは、多くて10人でしたから、クラスで一番できない奴が「合格留保」と言うことで、半年遅れで合格して最終的には司法試験合格者の殆どが法曹資格を取得して、少々出来が悪くともなんとか弁護士になれました。

しかし、50人に一人のできの悪い法曹では、その後ずぅっと「留保」を引きずり不名誉ですから、とても緊張する二回試験となります。そこで、二回試験に向けての精神的安定のために、クラスで自分より一人できの悪い奴を見つけられれば、自分は大丈夫などと意地の悪い見方をしていたものです。そうは言っても同じ釜の飯を食った連中ですから、二回試験の合宿などして全員で合格に向けて勉強しました。

ところで、万一合格できず「合格留保」となった人は半年間「司法研修所の修習生」の身分が継続し、引き続き研修所から支給される「給与」を受け取る権利があるのですが、「落第」しながら税金から支給されても問題ですから、「留保者」は給与を「自発的に辞退」することになっていたようです。

しかし修習生といっても老弱男女様々で中には妻子もちもいます。しかしながら身分は公務員ですから予備校などでのアルバイトもできずに半年間食いつなぎ勉強しなければなりません。そこで、合格者の有志が音頭をとり、カンパを募り「留保者」の生活を保持させることになっていました。

このように、昔の500人合格のころの修習生は「同級生」としての連帯感があったと思っています。しかし、合格者が1500人となり、仲間意識が希薄となる中で107人もの不合格者が出るようになっては合格者がカンパをすることも無くなってしまっただろうとおもいます。

それにしても難関の司法試験を突破して、司法修習も終え、最後の二回試験で「合格留保」ならまだしも、完全な「落第」となった人達のこれからの人生はどうなるでしょうか、心配ですね。

もっとも、「自由と正義」(日弁連の機関誌)の巻末をみると、毎号依頼者からの預かり金を横領したなどの理由で弁護士会から懲戒処分をうける弁護士が多数います。最近では某大学教授の経験から弁護士登録をして、依頼者にお金を返さないという理由で業務停止処分を受けているセンセもいますし、そこの元イソ弁君もなにやらやらかし、処分を受けていました。

私は、ひょんなきっかけから二人とも面識があるのですが、イソ君はボス弁の仕事をするなかで、ボス弁の顧問先からの顧問料が遅れた途端、この顧問先に対し内容証明郵便を叩き付けたと伺っています。きっとボス弁から罵倒されたでしょうね、解雇されました。するとこのイソ君ボス弁に対し、東京地裁に「不当解雇」だと訴えを提起しました。しかし印紙を貼る知識もなく、裁判所から再三再四「取り下げ」を勧告されてもそれに従わず、裁判所も大変困ったようです。

実は、このイソ君司法研修所の元「合格留保」生でしたが、しかし700人時代の合格者ですから、何とか司法研修所の修了者として弁護士登録をしたものの、裁判所でも満足に口もきけず、お人柄は悪くはないと思うのですが、弁護士としては適格性に欠けるようでした。

このような具体例を知っていますと、今年の最終不合格者が10人と報道され「さもありなん」と思います。法曹は人と人のトラブルに介入してこれを「解決」といいますか「決着」をつける仕事ですから、仮に子供の頃からどんなに学業優秀であっても、また司法試験に合格しても、向き不向きがありますから自らの職業選択を誤らないことが重要です。

きょうは、司法研修所の落第について、研修所での修習内容に触れようと思ったのですが、書き始めると話がそれてしまいました。

司法修習生は、殆どがこれから先は裁判官・検察官・弁護士として社会の『エリート』としての将来が「約束」されていますから、「わが世の春」を謳歌しているはずです。その司法修習生が法曹としての将来を失う悲劇は、くもの糸を昇り天国に行くつもりが「プツン」と糸が切れ地獄へ真っ逆さまの心境です。また嫌な夢を見そうです。
posted by やすかね at 06:58| 千葉 🌁| 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする