2006年07月03日

新検事総長の事後チェック

6月30日閣議で検事総長の人事の発表がありました。前東京高検検事長但木敬一氏の就任です。新聞で発表になった「後任」人事欄をみますと、興味深いものがあります。

新検事総長の移動に伴う後任人事は次ぎのようになります。東京高検検事長←最高検次長検事←広島高検検事長←法務事務次官←刑事局長←官房長←官房審議官←もっとドンドン下に繋がっていき、最後には何処かの平検事まで続くのでしょうね。

ところで、新検事総長のコメントは30日の就任会見をそれぞれの新聞記者が纏めたと思うのですが、朝日と産経の「ひと」欄で拝見しますと、最初の一文は『厳正公平不偏不党が検察の神髄。政治権力があろうとなかろうと検察の捜査をゆがめたら自殺行為。私は絶対にしません。』(産経)『国民の視座を座標軸に、心を開いた検察を実現したい。』(朝日)となっています。

また、終わりの方では『次の社会は国民参加型。システムを握る強者をチェックしないと国民が自己責任だけ負わされて救済されない』(産経)『司法は最後のとりで。国民が馬鹿を見ないようにルール違反には厳しく対処する』(朝日)となっています。

片方の情報よりも、ステレオタイプに話をきけば多少なりとも「立体的」に見えると思うのですが、朝日と産経を読んでもなかなか新検事総長の人柄とか今の司法を取り巻く問題点が「立体的」に見えてきません。

会見では朝日も産経の記者も同じ事を聞いているはずなのですが、新聞記者を通じて二つのコメントを比べ「同一人」の談話と看破するのは大変となっています。

刑事裁判では、ある人の話し(供述という)を聞いた人の話のことを「伝聞」といいます、この伝聞は基本的には証拠に出来ないのですが、聞く人の問題意識でこれほど本人の話の内容が違ってくるのですね。

結局、二つの記事を見ながら大胆に「会見」を予測しますと、最初に経歴、次に司法(弁護士)を目指したきっかけ、その後検察志望と変わった事由、37年間の検事人生での印象的事実(これは、朝日では弁護士増員問題、産経は現場意識の持続)現在の司法を取り巻く課題と進み、最後に検事総長としての今後の抱負というようなところが、その会見内容のようです。

多少共通があるところを敷衍しますと朝日の「国民が馬鹿を見ないようルール違反には厳しく対処」は産経の「自由競争社会に移り、事後チェックの役割が重大となった」と「強者をチェック」する必要性、即ち政治の積極性(先行)に比べ検察捜査(司法)の事後的機能に焦点を当てている点、朝日が「ゼネコン汚職、日歯連事件・・検察と政界の・・接点」というようにこれらの問題を「検察の政治性」という抽象的視点に論じているのを比べると、産経の記者のほうが多少なりとも具体的(事後チェック)であり力量があるようです。

私の感想を述べますと、検事総長が『・・庶民の法律上の問題を解決しているのは、結局暴力団になってしまっているじゃないか』(朝日)と20年前に発言したことと『自由競争社会の事後チェック』の何れも重要な事のようです。

司法が政治と異なるのは、司法は紛争が発生してマイナスとなったことを如何にゼロに近づけるか、ということですが、国民の自由を拡大すれば必ず「自由の濫用」が出てきますが、この濫用を事後的にきちんと正義に基づいて「解決」しないと最後は「悪い奴ほど良く眠る」という結果となってしまい、庶民は「弁護士より、ヤクザに頼め」となってしまいます。

手短に良いますと、仮に悪どく儲け、その結果沢山の債務を負担しても財産を隠してしまえば、刑務所に入れられても、その刑務所の1年は何億円もの財産的価値となることを許しているのが今の社会です。

「厳しくチェック」「強者をチェック」するなら、絶対やり得を許さない司法が必要なのです。そのための法制度は「財産を隠匿する自由」の制限ですが、この制限される自由というのは最初から庶民には関係ないですよね。犯罪者の財産とか、破産者の財産に関しては「名寄せ」で全国の預貯金・不動産、場合によっては近親者の財産増加の様子を見られるようにすれば、と思います。

最近、日銀総裁の妻の財産増加の様子が新聞に出ていましたが、あれを業務上横領・窃盗・詐欺などの犯罪者に適用し、またライブドア・村上ファンドなどの経済犯罪、破産者(真実破産なら正直にすれば良い)などにも拡大すればと考えます。
posted by やすかね at 14:45| 千葉 ☁| 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする