2010年05月23日

「寄付」された道路用地の問題

建設常任委員会委員のところに,市原出身で現在は他市に居住していると思われるヒトから,お手紙が二回ほど届きました。
要するに,自分(執行部では,登記名義は先々代で,ご自身の母親健在らしいから未だ権利者でもない)の土地を市当局が道路法を無視して民有地を舗装している,とのことです。
経過を遡りますと,戦後から昭和33年頃に旧菊間町の管理下の頃の道普請で道路が拡張されたようですが,きちんと登記がなされてなかったことから,今回の「紛争」になったようです。
自分の家でもそうですが,道普請などやって自宅の一部を「寄付」して道路の拡張工事をした事例など,どこでも枚挙にいとまがないと思うのですが,その後行政が分筆を行い所有権の移転登記をしていませんと,「寄付」した事実関係が不明となり,本件のような「紛争」が起こってきます。

問題があるといって本市に文句を言っている人は,未だ所有者ではないそうですが,仮に今後相続で所有権を取得しても相続のような「包括承継」では,何代も連なる被相続人の債権債務関係を全て引き継ぎますから,現在の所有者は既に亡くなった何世代にもわたる債権債務を全て承継し,今更土地を返せとはいえません。逆に本市から分筆をして移転登記をせよ,と請求されることになります。

しかしながら,本市に土地所有者からの「寄付」の事実を証明する証拠がないときは,やむを得ませんから「時効取得」を主張することになります。
ですから,一般的にも土地の公図などを見て,地形が変っているなどと文句を言っても,これまでの長い時間の流れの中でその土地をめぐり如何なることがあったのか必ずしも明らかになりませんから,最後は「時効」で「解決」ということになります。

ところで,本件の場合,本市が時効で所有権を取得した場合は,相続人などには,登記なくしても権利を主張できるのですが,この相続人から所有権を取得した第三者が出現した場合には「登記がなければ第三者に対抗できません」から本市は速やかに現在の所有者に対し,訴訟を行い分筆の上移転登記をせよと請求しなければなりません。

それにしても,自らの先代・先々代の行為を無視して「わが先祖は行政に土地を取られたまま放置していた」と考えているかどうか分かりませんが,このようなことを主張する人は,自らのご先祖様の「公共心」(たぶん公共のため寄付したでしょうという事)を踏みにじり,ご先祖様を「馬鹿」扱いしていることに,なりはしませんかね。

特に民民の関係ならともかく,公共性の高い道路用地に対して半世紀も経過したあとで,所有権の範囲(境界は,公図のとおりで正しい)が違っているなどと主張することは,そもそも「全ての土地はわが国の領土である」という重要な事実をご理解していただかなくてはなりません。

しかし,この様な問題は,一日も早い法的処理が必要です。ですから,3月議会であったように,顧問弁護士に相談しながら,できもしない調停をやろうとするより格段に重要です。
posted by やすかね at 22:10| 千葉 ☔| Comment(0) | 行政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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