離婚の際、わが国では両親の何れかを親権者と決めることが必要ですが、そのとき最初に考慮されるべきことは「子どもの福祉の観点からいずれに親権があることがふさわしいのか」ということです。
この基準によって、子どもが幼いときは母親の愛情が必要と考えられ、母親に親権が与えられます。父親に親権が与えられるのは、男の子が小学校の高学年から中学生になっている場合であり、明らかではありませんが、「一人前の男」として成長する必要が考えられているのでしょうかね。
この様に考えてきますと、幼女の親権が父親にあることは「例外的」と思われました。
本件は、男のDVというより、もっと性的衝動が感じられる事件なのですが、被告人質問で彼は「中学を出た後、兄貴のところに行ったところ、兄貴が彼女に暴力を振るっていたのを見てから、自分も女性に暴力を振るうようになった」と述べていました。
偶々ですが、裁判当日の朝、読売新聞に「両親のDV目撃 脳に悪影響」という囲み記事がありました。
子どものころに両親の家庭内暴力を見て育つと、脳の発達に悪影響を及ぼす。児童虐待防止法では暴力を目撃することも心的外傷を与えるとして児童虐待に
当たるとされているそうです。
小児学会で発表されるそうですが、3歳から17歳で日常的に父親が母親に殴る蹴るなどの激しい暴力を振るう姿を目撃した人と虐待のない家庭で育った33人を選び、MRIで比較したところ、目撃経験者は目からの情報を処理する右脳の「視覚野」の容積が目撃したことのない人に比べ20.5%小さく、血流量を調べると目撃経験者のほうが8.1%多く、これは神経活動が過敏になっている特徴だそうです。(読売4月23日)
子どもの頃、最愛の母親が暴力を振るわれるのを見ながら、母親を助けられない、自分ではどうしようもできない苛立ちとストレスで、脳に異常が残ってしまうと言うことは恐ろしいことですね。
「遺伝」ではないでしょうが、世間から見ると親の因果が子に移り、というような恐ろしいことですね。幼児には直接的暴力だけでなく、見せてもいけないならば、TVでの殺人・暴力場面など「児童虐待防止法違反」ということになりますかね。
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