民主党が政権をとって以来、政治が面白くなりましたですね。間もなくアメリカのオバマ大統領が来日します。
鳩山首相は、首相就任後アメリカを訪問したときオバマ大統領との会見の冒頭『民主党へ政権交代したアメリカの勇気をわが国がいただいた。』とのべ、アメリカ人が好きなことばである「正義・公平・勇気」などを使いながらわが国の民主党への政権交代を伝えつつ、鳩山首相がオバマ大統領の「歓心」を誘ったのは、お見事でした。
ところで、オバマ大統領が来日する前に、アメリカはその前段(副大臣・次官級)で、自民党政権下で合意してある、日米間での普天間基地移転問題に変更のないことの確認を取り付けておこうと躍起になっていました。これに対し民主党政権は結論を留保してきました。
この普天間基地の問題のきっかけは(お忘れの方もいらっしゃるでしょうが)皆様ご承知のように、14年前のアメリカ兵による少女暴行事件でした。沖縄県民は、本土防衛のために沖縄がアメリカに提供されているから、このような事件が起るのである、と考えています。
10年ほど前ですか、沖縄反戦デーがなぜ4月18日なのかを評論家の田原総一郎さんは知らずにBS1チャンネルで沖縄を「解説」していましたので、早速NHKに、「六法全書を見ればわかるが、4.18沖縄反戦デーは、日本がサンフランシスコ平和条約で沖縄をアメリカに引き渡した日である」ことを電話したところ、番組中で田原さんは、そのような電話のあったことを紹介していましたが、沖縄県民は戦後一貫して「本土防衛のために沖縄に基地がある」と考えています。
ここで、日米の「外交問題」を考えるとき重要なことが「諸々のバランス」であると思います。アメリカは、戦後一貫して、力こそ正義であると考える「力の政策」を取ってきました。ソ連との冷戦構造でもこのアメリカの世界戦略は維持されてきました。
アメリカは世界中にアメリカの基地をおいて、そこに大部隊を駐留させてソ連(中国)を包囲してきた結果、ソ連崩壊、ベルリンの壁崩壊で「冷戦に勝利」しました。
何でもそうですが、力で相手を押さえつけ、完璧にやっつけてしまうと「恨みを買う」のが世の常です。適当に相手の言い分を認めながら納得する「解決」を図るのが「バランス」というものです。
アメリカは現在、世界戦略で「完璧に勝利」し過ぎてはいないでしょうか。もうこれまでのような冷戦構造ではないのですから、大部隊を海外に駐留させるのでなく、必要に応じて海外派遣できる拠点を確保できれば足りると考えたほうがアメリカ国民も納得するでしょうね。
アメリカは、ベトナム戦争をはじめ、イランでもアフガニスタンでも多くの若者の生命を犠牲にして、これまでの世界戦略を推し進めてきたのです。この点に関してのアメリカ国民の抵抗は大きいはずです。
アメリカは、民主主義国家ですから国民の同意が得られなければ世界戦略も進めることはできません。京都議定書でもアメリカが自分から進めておきながら未だに国民の納得が得られないということで批准していません。
ですから、アメリカが鳩山首相に「自民党政権との合意がある」と強行に主張しても鳩山さんは「わが国民の声を聞いてください。自民党政権を変えたのは、国民の意思である。」と明確に言うべきでしょう。
この様な事を考えていますと、アメリカは岡田外務大臣が言うように普天間基地の嘉手納への移設に合意すれば日本国民だけでなくアメリカ国民も納得するのではないでしょうか、どこの国でも自分たちの利権というか影響力の減少には抵抗があり、普天間の移転問題には、国防総省ペンタゴンの抵抗があるかもしれませんが、冷戦の終結した現在ではこれまで同様の海外基地を確保することの合理的理由はないでしょうね。
アメリカができたばかりの鳩山政権に対し、これまで同様の対日政策である「外圧」を加えますと、逆に日本はロシアとの平和条約を締結して北方領土の返還が実現するやもしれません。
ソ連(その中核のロシア)は冷戦でアメリカに破れ、その後ポーランド(70年前にソ連が侵略した)、バルト3国、ウクライナだけでなく、その外の旧東ヨーロッパがどんどんEU共同体だけでなくNATOに接近するようになってしまって、ロシアは焦っているはずです。
ロシアは軍事行動もしていますが、アフガンでの失敗のように、もはや軍事では成功しません。今のロシアは、石油と天然ガスで旧東欧諸国に対し影響力を保持するしかありません。
さらに、中国もアメリカを「パートナー」として経済だけでなく軍事演習などもするようになっていますから、アメリカが日本へ外圧を強めるなら、ロシアが日本に接近してくると考えたほうが無難ですね。
民主党の「国家戦略局」も私と同じような考えを持っているかもしれませんが、いずれにしても、日本国民が軽薄なマスコミ報道に踊らされることなく、事実関係を把握しながら様々なバランスを取ることが重要でしょう。
(これに関連して2月20日の「鈴木宗男逮捕の真相」というブログも見てね。カレンダーの上の≪などクリックすると月ごとに移動もします。またブログの記事検索でもでますヨ。)
2009年11月09日
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