2006年01月12日

小さな政府(ケインズからハイエクへ)

最近ホームページへの掲載間隔が伸びていますが、実は新聞の切抜きが溜まってしまい時間を見つけては積み上げた「古新聞」を読んでいるところです。また以前著書をご紹介しましたが、あの「宗男ハウス」の関連で全国的に有名となった外務省の元情報分析官の佐藤優氏の「国家の罠」に続き今「国家の自縛」を読んでいます。

この本を読んでいますと一つのフレーズの背後には膨大な資料が積み上げてあると驚嘆させられていますが、それだけでなく著者は神学からマルクス、ケインズはもとより北朝鮮の金日成の著作集等など膨大な読書量、さらにその内容を現実政治にあてはめ解説をしているのです。最近にない感激を覚えています。

少しご紹介させていただきますが、先の著作では私の理解を超えていた「ケインズ型の公平配分モデルからハイエク型の新自由主義、つまり傾斜配分モデルへの転換」についても分かりやすく説明をしてくれています。

公平配分とは何かと言いますと、世の中に貧富の格差があるときに所得の再分配、要するにお金のあるところから物を持ってきて、これをお金のないところに再分配する考え方となります。

一番分かりやすい例が所得のある人から沢山の税金を徴収し、所得のない人に分配する事で社会の格差を縮め公平を図るということです。政治は基本的にこの様な役割を果たしています。

また最近政府が、東京に本社のある大企業の法人税を地方にも分配しようと考えていると、これに対して石原東京都知事が怒っていますが、これは各地方自治体間の「所得の再分配」のシステムに異議を唱えている事です。

ところで、社会主義は一般には最も公平配分が進んでいる社会と考えられていますが、著者は自らのソ連の経験から「マルクス・レーニン主義型社会主義というのはとても悪いシステムです。これは・・悪いことをする人は誰もいないというフィクションでつくられる。」とも言っています。

さらに私見を述べますと、社会主義を進めた共産主義の社会は「人は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る社会」と定義されているようですが、これも人は全て自分の能力一杯働き、必要なだけしか受け取らない、全ての人間は神様のように純粋である、と考えなければ成立しない考えかたです。これは、今の人類が数千年先に実現できるかと考えても不可能なことと思います。

しかし、現実に存在する資本主義社会の格差を放置すれば、これまた(革命で)社会主義になってしまう危険がある。そこで、ケインズは公共事業などを行い公平配分によって富の再配分をして、親が金持ちであろうと貧乏人であろうと子供たちのチャンスは略同じ(にしようと)だと、ルーズベルトの「ニューディール政策」はかなり社会主義的(欧州では「社会民主主義」と呼ばれた)であると説明しています。

この様な論理を進めますと、日本では誰が一番の社会民主主義者かと言われれば、これは辻本清美とか土井たか子さんではない。国際スタンダードから言えば田中角栄さんである、新潟の雪深い地域で生れても、麻布で生れてもその子供たちのスタート点は略同じだとして所得の再分配を担保していたのだ。とこう説明しています。

詳細は著書をご覧頂くとして、中略しますと、次にハイエク型の新自由主義に基づく傾斜配分とは「経済的強者がもっと強くなる事で、社会はより一層豊かになるという考え方」だそうです。

昔一般の家庭ではクーラーなどありませんでしたが、現在では学生の下宿にまでエアコンがあります、自家用車も同じように何処の家庭でもあり、このように昔の大金持ちしか持つ事のできなかった車も電化製品も、今ではどこの家庭でも備えることができています。

経済を強くするには国家はできるだけ規則や干渉はしない、金持ちはどんどん金持ちにしていくと貧乏人との差がでるが、しかし十年二十年と時間が経てば皆が持てるようになる。これが今の小泉政権の考えている内容のようです。(今言われている「小さな政府」とは何か、色々議論があるでしょうが、私見を言いますと最低限として秩序の維持をする政府であり、所得の再配分機能を「放棄」する政府ではないでしょうか。)

しかし、著者はハイエク型の新自由主義のモデルの中には大きな罠がある、この罠に嵌まってしまってはいけないと、注意しています。

非常に深刻な問題は中国人が肉を食べ始めた・・肉を食べ始めると人間は絶対にその味を捨てることはできない、・・

さてさて、一体どのような「罠」でしょうかね、また中国人が肉を食べ始めた事がどんな深刻な問題を引き起こすのでしょうかね?著書には書いてあるのですが・・イジワルも楽しいですね。
posted by やすかね at 16:44| 千葉 ☀| 議会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする