2009年01月27日

「博士」が講師の議員立法研修会

昨日,議員立法について議員研修会があるということで,午後の予定をキャンセルして参加することにしました。昨今議員立法の重要性が叫ばれていますが,国レベルで議院内閣制を採用し,衆参両院にそれぞれ優秀な公務員を揃えた法制局がありますが,それでも中々議員立法は大変です。

アメリカのように大統領制を採用して,議会はもっぱら法律を制定してこの法律をもとにして大統領が行政権を行使するという伝統があれば,議会の立法も容易でしょう。

しかし,わが国は未だ国レベルでも議員立法が難しいものをさらに地方レベルでアメリカのように大統領制を採用したからといって,議会が立法をするのが本来の姿だなどと考えても,なかなかわが国の実情には合わない事は明らかです。

この様な,認識がありましたから,講師は議院内閣制とか大統領制の中での議員立法に研究を深め,それが地方自治でいかなる役割を果たすのか,またそれがわが国の民主主義にとってどのように有益か,などと話が進むのかと期待していました。そうであれば,午後の予定をキャンセルしても聞く価値があると考えていました。

それはともかく,講演開始予定時刻を3時と誤解して,少し早めに事務局に着きますと,本日の講演料が25万円という事が判明しました。現在の不況下では若者が一月一生懸命働いても中々20万円を稼ぐのは大変ですが,財団法人に所属して給与の支給も受けているであろう講師は,90分で25万円,当日の講演が1日の仕事としても,一年に換算しますと6250万円になります。

自分の仕事のキャンセルと講演料をプラスマイナスしますと,とても今日は「貴重な時間」となります。ですから相当の期待をして机に座りメモを取ろうとしたのですが,しかし,講演が始まると,直ぐがっかりしました。

こちらは講師がどのような内容の話をするのかが問題で,どこの大学を出ているかなどという事は全く興味がありませんが,講師は自分の経歴(本来,司会が簡単ご紹介すること)を話し始め,どこそこ大学の博士号,どこそこ市役所のアドバイザー,こんな本も出版しましたので,印税が入ってくるなどと自分の権威付けを始めました。

内容に入っても,神奈川県の議会では,「首長提案の議案の92%が原案可決で通過しているから」「議会のノチェック機能が働いていない」などという事を話し始めました。原案可決が多いと議会のチェック機能が働いていないなどということは,全くナンセンスなのです。

この論法が正しいためには,執行部の提案する条例案の多くが出鱈目である事が前提となります。出鱈目な原案をそのまま議会が承認するならば議会のチェックが働いていない事は明らかですが,原案可決率などと言うトータルな数字で議会のチェック機能を論ずることは,少なくとも「博士」の言う事ではありません。

議会のチェック機能は,あくまで個別の条例案の審査がどのようになされたかという事でしか,把握できないでしょう。例えば加茂運動公園用地取得について議会がどのように反応したか,という事でしょう。これなど国の事業である圏央道の重要性と加茂地区の住民の運動広場ですから,そもそもその必要性を比べる事自体ができないようない違いがあるものです。

ですから,この様なレベルの異なる事業を進めるために国の事業と同一価額で田んぼを取得しようとする執行部原案をそのまま承認するということは,全く議会のチェック機能が働いていないといえると考えます。このレベルの違いを全く考えず,ベラボーな値段で田んぼを買収した事で,以後加茂地区で病院用地を取得しようとするようなとき大きな障害となるでしょうね。先の見えない執行部とチェック機能の働かない議会の責任は重大です。

話が飛びましたが,講師は,犯罪の多い少ないについても同じように全くナンセンスな事を言っていました。犯罪認知件数の多寡で犯罪の多い少ないと言う事を話しているのです。これも佐久間市長の説明と同じなのですが,「犯罪が減った」と言う社会現象は,「犯罪認知件数」と言う数字だけで論じては,全く素人の話なのです。

犯罪認知件数とは,捜査機関が知りえた犯罪の数という事で,その数は告訴・告発・被害届け・現行犯などの合計数であり,社会に多数存在している「暗数」の実態調査などをしてから,社会の犯罪総数を「推定」しなければ社会に存在している犯罪が多いとか少ないなどとは論ずる事がそもそもできないのです。政治的発言をする市長ならともかく,「学者」として少なくとも90分25万円をとる「博士」の言うべき事ではありません。

こんなこともありましたね。講師は,次の話に入るとき「ここまで良いですか。」といって暫くまた別けの分からないことをいってから「ここまで良いですか。」とまた聞くものですから私が「質問して良いですか」と言いますと「質問は後でお願いします。」(実は,質問をさせないつもりであった)

話が終わり「質問はメールしていただければ,個別に対応します。」等と言う無責任(最後は,個人的に回答した,いやしていない,などという事になる)な態度に出たのですが,幸い局長が「この際ですから,質問があれば」と質問の機会を与えてくれましたので質問する事にしました。

私としては,自らの経済的損失(医師の元市議であった中野先生は代診に費用は議会一日10万円と話していました。弁護士も大体同じです)と高額な講演料とその内容から相当腹を立てていたことから,なかなか冷静に質問ができるほど人間的な修行ができていませんから,外の人に質問の趣旨が十分伝わっていないと思いますが,議会の原案可決と議会のチェック機能と大統領制などについての自分の考えから,講師が議員立法の政策研究などをしているのかと嫌味な質問をしておきました。

29日は、京葉五市議員研修会がありますが、楽しみですね。いままでは大変つまらない講演が多すぎましたから・・
posted by やすかね at 15:11| 千葉 ☁| 議会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする